世界保健機関(WHO)が2020年01月30日に緊急事態宣言を発令して以降、中国を発着する航空網が急激に縮小しています。最新のデータによると、国際線の路線数は宣言前と比べて67%も減少しました。特に中国からの入国を厳しく制限しているアメリカでは約8割減、日本や韓国でも半数が運休する異例の事態を迎えています。計算上ではすでに240万人以上の往来が失われており、世界的な観光業や経済への大打撃は避けられない見通しです。
今回の路線減少ペースは、2003年に猛威を振るったSARS(重症急性呼吸器症候群)の時を遥かに上回るスピードで進んでいます。SNS上では「楽しみにしていた海外旅行が中止になった」「出張に行けずビジネスへの影響が心配」といった困惑の声が溢れる一方、「水際対策を徹底するためには減便もやむを得ない」という冷静な意見も多く見られます。人々の不安の大きさが、そのまま航空便の運航状況に直結していると言えるでしょう。
高級ホテルやブランドを直撃する巨額の損失リスク
中国からの渡航者が途絶えたことで、世界的な大企業も悲鳴を上げています。ホテル大手の米ヒルトンは、中国国内にある約150のホテルを一時休業したほか、世界中での中国人客の減少により、2020年12月期の「EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)」が最大で約55億円も押し下げられるとの予測を発表しました。なお、このEBITDAとは、企業の純粋な「稼ぐ力」を評価するために、国ごとの税制や金利の影響を除いて計算した利益の指標のことです。
さらに、ルイ・ヴィトンを擁するLVMHグループなどの高級ブランドでも、中国人による爆買いのストップを懸念して株価が約6%下落しました。世界トップクラスの資産を持つ中国人の消費が冷え込むことは、地球規模の景気後退を引き起こす最大の火種になりかねません。世界経済がいかに中国の巨大な市場に依存していたかが、今回の危機によって浮き彫りになったと言えます。
各国の水際対策の違いと今後の世界経済への教訓
対応の早かったアメリカは、2020年01月末に中国に滞在していた外国人の入国禁止を決定し、主要航空会社も直行便の運行を長期で見合わせる決断を下しました。かつてSARSの教訓を持つシンガポールでは、減少率が85%に達するなど徹底的な封じ込めを図っています。これに対し、経済的な結びつきが強い日本や韓国は運休が約5割に留まっており、全日本空輸が2020年03月末まで中国便をほぼ半減させるなど、需要の減退に合わせた調整を行っています。
私は、この航空網の遮断という現実を単なる一時的な混乱と捉えるべきではないと考えます。グローバル化が進んだ現代において、感染症の拡大は一国に留まらず、一瞬で世界中の経済を麻痺させる爆発力を持っています。今回の事態を教訓に、企業は特定の国だけに頼らない、よりリスクに強い経営体制を再構築するべきです。目先の利益だけでなく、危機の時代を生き抜くためのしなやかな強さが、これからの世界には求められているのではないでしょうか。
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