全国の農業シーンに大きな波紋を呼ぶ調査結果が、2019年08月08日に全国農業協同組合中央会(JA全中)から発表されました。現在進められている組織の「自己改革」の一環として、現場を支える組合員たちがどのような未来を描いているのか、その中間集計が明らかにされています。特に注目を集めているのが、農家以外でJAのサービスを利用する「准組合員」の扱いについてです。
今回の調査によると、驚くべきことに回答者の89%という圧倒的な多数が、准組合員の事業利用を制限すべきではないと考えていることが分かりました。准組合員とは、農業に従事していないものの、出資金を払ってJAのサービスを利用する地域住民の方々を指します。彼らの利用をこれまで通り維持することは、JAの経営基盤を支えるだけでなく、地方の利便性を守る鍵になると判断されたようです。
SNS上でもこの結果に対する関心は非常に高く、「もし利用制限がかかれば、唯一の金融機関であるJAバンクが使えなくなり、生活が成り立たない」といった切実な声が上がっています。また、地方のインフラが失われることへの危機感を抱く意見も多く見受けられました。准組合員制度は、単なるビジネスの関係を超えて、地域コミュニティを維持するための命綱として機能している現状が浮き彫りになっています。
地域住民との共生が切り拓く、新しい農業協同組合の形
専門的な視点から解説を加えますと、この「准組合員」の問題は、政府が進める規制改革推進会議の議論と密接に関わっています。政府側には、JAは本来の農家(正組合員)のための組織であるべきだという意見があり、非農家の利用を制限しようとする動きが見られました。しかし、今回の調査結果は、現場がそのような「線引き」を望んでいないという明確なメッセージを突きつけているのです。
私自身の見解としましては、この89%という数字は、地方におけるJAの存在意義が「農業支援」の枠を大きく超えていることを証明していると感じます。ガソリンスタンドやスーパー、金融窓口が不足する過疎地において、JAはもはや生活そのものを支える基盤です。そこから准組合員を排除することは、結果として農家自身の生活環境を悪化させることにも繋がりかねない、極めて危うい議論だと言わざるを得ません。
もちろん、組織としての肥大化を防ぎ、本来の目的である農業所得の向上に注力することは不可欠でしょう。しかし、利用者を排除して組織を縮小させるのではなく、地域住民を巻き込んだ「開かれた組織」として進化することこそが、21世紀の農業改革に求められる姿勢ではないでしょうか。2019年08月08日に示されたこの民意が、今後の政策決定にどのような影響を与えるのか、引き続き注視が必要です。
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