みなさんは「国宝」に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか。遠い存在のように思える文化財ですが、実は私たちのすぐ身近にあるものなのです。文化財保護法に基づき、有形文化財の中で特に価値が高いとして文部科学大臣が指定する国宝は、決して国家だけの財産ではありません。SNSでも「国宝が個人所有できるなんて驚き」「もっと身近に感じられた」といった声が上がっており、その意外な実態に注目が集まっています。
美術工芸品の国宝全893件のうち、なんと27件は個人が所有しているものなのです。さらに、117件は中国などから渡来した海外製品であり、国宝の世界は驚くほど国際的だと言えるでしょう。これらは、私たち国民全員で次の世代へと引き継いでいくべき奇跡の宝物なのです。今回は、そんな国宝の魅力をさらに深掘りするクイズをご紹介します。意外と知られていない驚きの事実が隠されているかもしれません。
正倉院の建築美と唐招提寺に息づく歴史のロマン
まずは、聖武天皇ゆかりの品々を今に伝える、奈良・正倉院の建築様式についての問題です。正解は「校倉造り(あぜくらづくり)」ですが、20代の正答率は3割未満という結果になりました。校倉造りとは、断面が三角形の木材を井桁状に組み上げて壁を作る、日本古来の倉庫建築の技法を指します。1997年11月10日に国宝へ指定され、翌年には世界遺産にも登録されたこの建造物は、現在は宮内庁が厳重に管理を行っています。
続いて、鑑真和上が建立したことで知られる唐招提寺にスポットを当ててみましょう。こちらは南都六宗と呼ばれる、奈良時代に栄えた仏教宗派の一つ「律宗(りっしゅう)」の総本山です。金堂や講堂などの国宝建築だけでなく、2019年には木造薬師如来立像など6体がまとめて国宝に加わりました。日本最古の肖像彫刻である鑑真和上像が安置される御影堂には、日本画家の東山魁夷が描いた美しい障壁画が今も彩りを添えています。
超軽量な阿修羅像の秘密と直接触れ合える鎌倉大仏
国宝の仏像の中でも絶大な人気を誇るのが、興福寺の阿修羅像です。抜群のスタイルを持つ美少年のようなお姿ですが、体重はわずか15キログラムほどしかありません。その軽さの理由は、「脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)」という独特の技法にあります。これは、粘土の原型に漆で麻布を何度も張り重ねた後、内部の粘土をすべて掻き出す手法のことです。三面六臂の憂いを秘めた表情が、ネットでも多くのファンを虜にしています。
また、直接触ることができるという、世にも珍しい国宝の仏像をご存じでしょうか。その正体は、鎌倉大仏として親しまれている高徳院の阿弥陀如来坐像です。拝観料20円を支払えば空洞になっている胎内へと入ることが可能で、内側から歴史の重みに触れられます。かつては大仏殿がありましたが、15世紀以降はむき出しの状態で鎮座しています。まさに私たち国民にとって、最も親しみやすさを実感できる国宝と言えるでしょう。
奈良の大仏に今も残る、奇跡のオリジナルパーツ
最後は、鎌倉大仏とは対照的に世界最大級の木造建築に守られている、東大寺の奈良の大仏についてのクイズです。度重なる兵火によって、大仏殿とともに何度も焼損の歴史を歩んできました。しかし、実は「台座」部分のほか、膝の一部には奈良時代に鋳造された当時の姿が奇跡的に残っています。背中は鎌倉時代、頭部は江戸時代に修復されたため、現在の姿は各時代の美意識が融合したハイブリッドな傑作なのです。
このように、国宝は調べれば調べるほど、新しい発見とワクワクする物語に満ち溢れています。歴史の荒波を乗り越えて現代に伝わる日本の宝。ただ眺めるだけでなく、その背景にある職人たちの高度な技術や、所有してきた人々の想いに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。全国各地に点在する歴史の証人たちを訪ねる旅は、きっとあなたの教養と感性を豊かにしてくれるに違いありません。
コメント