👵女優・吉行和子が語る「濃密な人生」と「家族への深い愛」:84歳を迎えて明かす心の機微【そしていま、一人になった】

今年で84歳を迎えるベテラン女優・吉行和子さんが綴られた自伝**『そしていま、一人になった』(集英社・1,700円)が、静かながらも大きな感動を呼んでいます。おっとりとした語り口が印象的な吉行さんですが、本書の中では、ご自身の濃密な人生における「つらい出来事」にも触れながら、それを鋭く、そして深みのある言葉で描き出されているのが特徴でしょう。

吉行さんのご家族は、非常に著名な方々ばかりです。母のあぐりさんは、その半生がNHKの連続テレビ小説のモデルとなりましたし、父のエイスケさん、兄の淳之介さん、妹の理恵さんもすべて作家として知られています。このような、文学一家に育った吉行さんが、今回「家族のことをきちんと書こう」という強い決意を持って執筆に臨まれたという事実は、読者の心を揺さぶりますね。

特に、家族に対する想いは本書の核となっています。多忙を極めていた母・あぐりさんとは、90歳を超えてから初めて二人きりの旅に出かけ、「やっと親子になれた」と感じたというエピソードは、胸に迫るものがあります。また、幼い頃は元気だった妹の理恵さんが、内向的な性格になった背景には、母の再婚があったのではないかと推察されており、妹に対する深い愛情と複雑な想いが率直に吐露されています。ご家族の知られざる心の機微に触れられるのは、本書の大きな魅力だといえるでしょう。

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🎬新劇から小劇場まで:女優としての「すべて」を経験した歩み

女優としてのキャリアは、新劇の劇団から始まり、小劇場演劇、そして映画**、テレビと、演劇界のあらゆるジャンルを経験されてきました。新劇の世界では、宇野重吉さん、そして小劇場演劇では鈴木忠志さん、映画では山田洋次さんといった、名だたる巨匠たちから指導を受け、その演技に磨きをかけてきたことが綴られています。演劇界の重鎮たちの名前が次々と登場し、吉行さんのキャリアの重さが伝わってくる構成になっています。

さらに、短歌や演劇など多方面で活躍した寺山修司さんから、「演技派(巧みな技術で役を演じる女優のこと)って言われる女優にだけはならないでね」と声をかけられたという貴重なエピソードも披露されています。これは、技術にとらわれず、内面から役柄を生きることを求められた、吉行さんの本質的な女優像を象徴する言葉だと拝察します。このような舞台裏の貴重な証言は、演劇ファンにとってたまらない内容でしょう。

💡病と向き合い、人生の助言となる言葉たち

幼い頃からぜんそくという持病に苦しんでこられた吉行さんですが、その病気との向き合い方が、人生を豊かにしてきたと語られています。「病気が私をつくってくれた」という言葉に込められた重みは、読者の心に深く響くはずです。病があったからこそ、「まずは我慢強くなった」と感じ、「自分ができることだけをしていればいい」「与えられたことだけを一生懸命」といった、謙虚で力強い人生の哲学が生まれたのでしょう。

吉行さんご自身には、誰かに説教をするような意図はないはずですが、本書に散りばめられたこれらの言葉は、現代を生きる私たちにとって、人生の助言となり得るものが数多く存在しています。逆境を乗り越え、自分の置かれた場所で咲き続けることの大切さを、静かに教えてくれているように感じられます。

本書が発売された2019年6月上旬当時、著名な女優の家族秘話や、壮絶な女優人生を振り返る内容に対し、SNSでは「おっとりした語り口からは想像できない、濃密な人生に感銘を受けた」「吉行家の複雑な背景が、吉行さんの言葉で初めて腑に落ちた」といった、その率直な語りと深い家族愛を評価する声が多く見受けられました。**「そしていま、一人になった」というタイトルが示すように、最愛の家族を見送った後の吉行さんの「今」**の心境が、多くの読者に寄り添う一冊となっているようです。

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