「管理貿易」の罠。2019年5月27日日米首脳会談、トランプ氏「8月妥結」圧力に日本が守るべき一線とは?

2019年5月27日、「令和」初の国賓として来日したトランプ米大統領と安倍晋三首相(当時)が会談しました。最大の焦点である日米通商交渉については、「早期の成果」を目指して協議を加速させることで一致。トランプ大統領からは、日本の夏の参議院選挙後を見据えた「8月妥結」という具体的な時期まで示されました。しかし、この「早期成果」という言葉の裏には、日本が決して受け入れてはならない危険な罠が潜んでいると、専門家は強く警鐘を鳴らしています。

最も心配される事態は、アメリカが「管理貿易」につながる措置を強要し、日本がそれを受け入れてしまうことです。「管理貿易」とは、政府が輸出入の数量や価格などを直接的に管理する政策のことで、市場原理に基づく「自由貿易」とは正反対の考え方です。SNS上でも「参院選が終わった途端に、アメリカに大幅譲歩させられるのではないか」「8月妥結ありきで安易な妥協をしてほしくない」と、国民の不安が渦巻いています。

トランプ大統領は「TPP(環太平洋経済連携協定)には縛られない」と公言していますが、日本にとっての防衛ラインは、まさにその「TPPで合意した水準」です。米国が離脱したことで、米国の農家が日本市場で不利な競争を強いられているという事情は理解できます。しかし、だからといってTPPの水準を超える農産物の市場開放を迫られても、日本がそれを受け入れるわけにはいきません。

より深刻なのは、自動車などの「輸出数量規制」や、通貨安誘導を禁じる「為替条項」の導入です。米国は「自動車の輸入増は安全保障上の脅威だ」という理屈で高関税をちらつかせ、これを脅しの材料に交渉を急ごうとしています。これはあまりにも乱暴な手法と言わざるを得ません。こうした「管理貿易」は、一時的に米国の貿易赤字を減らすように見えても、長期的には日米双方の経済を歪め、不利益をもたらすものです。

世界第1位と第3位の経済大国である日米には、貿易や投資を縮小させるのではなく、世界経済をリードしていく責務があります。輸出数量規制や為替条項といった「悪しき前例」を一度でも作ってしまえば、世界中に保護主義的な管理貿易が拡散しかねません。日本政府には、自由貿易の原則を堅持し、安易な妥協を排して建設的な合意点を探る、毅然とした交渉姿勢が強く求められます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました