2019年11月17日現在、欧州の株式市場はかつてない熱気に包まれています。米中による貿易協議の進展を背景に、投資家たちが再び「リスクを取る」姿勢を鮮明にしているからです。これまで慎重だった資金が欧州市場へ勢いよく戻ってきており、主要指数は過去最高値の更新を虎視眈々と狙う展開となっています。
市場の熱量を示すバロメーターとして注目されているのが「ストックス600」です。これは欧州主要17カ国、約600社で構成される株価指数を指します。2019年11月上旬には節目の400ポイントを突破しました。2015年4月に記録した過去最高値である414.06まで、あとわずか2%という水準にまで迫っているのです。
SNSや個人投資家の間でも「ついに欧州株の冬が終わるのか」といった期待の声が上がり始めています。特に10月以降、世界景気の減速懸念から売られていた自動車関連株に力強い買いが入っている点は見逃せません。これは実体経済の苦境を織り込み済みとし、次の上昇フェーズを見据えた「先行投資」の動きと言えるでしょう。
製造業の暗雲を振り払う景況感の「底入れ」サイン
現在の欧州、特にドイツの製造業は依然として厳しい状況にあります。しかし、投資家の心理はすでに「最悪期は脱した」という楽観ムードに傾きつつあります。それを裏付けるのが、独Ifo経済研究所が発表した景況感指数です。2019年10月の調査では、将来を見通す期待指数が7カ月ぶりに改善へと転じました。
また、企業の購買担当者に景気実感をアンケート調査する「PMI(購買担当者景気指数)」も、ユーロ圏全体で小幅ながら前月を上回りました。PMIは「50」を景気の分岐点とする指標ですが、現在はその水準を下回っているものの、底を打って上向く「底入れ」の兆しを見せています。この変化が市場に安心感を与えているのです。
私個人の見解としては、この「乗り遅れまいとする焦燥感」が現在の相場を支えていると感じます。英国の運用会社が指摘するように、2020年の本格回復を前に安値で仕込みたいという思惑が、テクニカルな数値を押し上げています。ただし、米中対立という不確定要素が残る中では、期待先行の危うさも同居していると言えるでしょう。
ドイツ経済の粘りと英総選挙が握る今後のシナリオ
2019年11月14日に発表されたドイツの2019年7~9月期実質GDPは、前期比で0.1%増という結果でした。2四半期連続のマイナス成長、つまりテクニカル・リセッション(景気後退)をかろうじて回避した形です。これを受けてドイツ銀行は、2019年の成長予測を0.5%へ上方修正するなど、強気の姿勢を見せ始めています。
今後の注目点は、2019年11月22日に発表されるユーロ圏のPMI速報値です。ここで改善が明確になれば、最高値更新は現実味を帯びるでしょう。一方で、米連邦準備理事会(FRB)が2019年11月20日に公開するFOMC議事要旨の内容も重要です。米国の金利政策が欧州の資金流転にどのような影響を及ぼすか、目が離せません。
さらに政治面では、英国の動向が最大の焦点です。2019年11月14日に総選挙の立候補が締め切られ、11月19日にはジョンソン首相と労働党のコービン党首による初のテレビ討論会が行われます。保守党が過半数を握り、EU離脱の混迷に終止符を打てるのか。政治の安定こそが、欧州株が最高値を突き抜けるための最後のピースになるはずです。
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