2019年12月12日、自民・公明の両党によって2020年度の与党税制改正大綱がまとめられました。今回の目玉は何といっても、私たちの老後を支える資産づくりの強力なバックアップです。「人生100年時代」という言葉が現実味を帯びる中、ついに政府が長期投資を促すために重い腰を上げたといえるでしょう。
特に注目すべきは、多くの人が利用している「NISA(少額投資非課税制度)」の劇的な刷新です。現在の制度は2023年12月31日で一旦区切りを迎え、2024年1月1日からは装いも新たに「新NISA」へとバトンタッチされます。この新しい仕組みは、より安定した資産形成を目指すための「2階建て」構造が大きな特徴となっています。
ここでいう「2階建て」とは、まず1階部分で低リスクの積立投資を行い、その上で2階部分として上場株式などへの投資ができる仕組みを指します。SNSでは「複雑で分かりにくい」という声も上がっていますが、これは「まずは堅実に貯めてから、余裕があれば攻めの投資を」という、国からの優しいメッセージなのかもしれません。
つみたて枠と投資枠の融合がもたらすメリット
新NISAでは、1階部分の年間投資枠が20万円、2階部分が102万円となり、合計122万円まで非課税で運用可能です。これは現行制度より2万円拡大された形です。さらに1階での積立期間が終わった後は、20年間も非課税運用ができる「つみたてNISA」へ資産を移すことも可能になり、長期的な視点でのメリットが非常に大きくなっています。
また、私的年金の代表格である「iDeCo(イデコ)」などの確定拠出年金もパワーアップします。企業型であれば加入上限が70歳まで、個人型なら65歳まで引き上げられることになりました。これによって、高齢になっても働き続けながら、節税しつつ老後資金を積み増すという、現代の多様なライフスタイルに即した運用が可能になります。
今回の改正は一見すると順風満帆に見えますが、編集部としては「まだ課題が山積みである」と言わざるを得ません。例えば退職金課税の仕組みです。現状では同じ会社に長く勤めるほど税金が安くなる仕組みになっており、転職が当たり前になりつつある現代のフリーランスや非正規雇用の方々にとっては、いまだに不利な設計が放置されたままです。
多様な働き方への対応は依然として「宿題」のまま
さらに、高所得者ほど税負担率が下がってしまう「1億円の壁」に関連する金融所得課税の是正も、今回は見送られてしまいました。誰もが公平に恩恵を受けられる税制への道のりは、まだ半歩進んだ程度に過ぎません。SNSでも「結局、余裕がある人だけが得をするのではないか」という厳しい指摘が散見されます。
専門用語で少し解説を加えると、今回の「税制改正大綱」とは、翌年度以降の税金のルールをどう変えるかを示す指針のことです。これが決まると、私たちの給与明細や将来の受取額に直結します。今回の改正は資産形成の「入り口」を広げた点は評価できますが、働き方の多様化に合わせた「出口」の整備については、今後の議論を注視する必要があります。
投資は自己責任と言われますが、国がこれほどまでに制度を整える背景には、公的年金だけでは限界があるという切実な裏返しでもあります。新しい制度を賢く使いこなし、自分自身の未来を守る知恵が、これからの時代には何よりも求められているのでしょう。私たちはこの変化を好機と捉え、資産形成の第一歩を踏み出すべき時が来ています。
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