2019年12月12日に投開票が行われた英国総選挙において、EU離脱を掲げる保守党が圧倒的な勝利を収めました。この結果を受け、翌日となる2019年12月13日、ベルギーのブリュッセルに集まったEU首脳陣は、今後の英国との関係性について非常に厳しい姿勢を示す声明を発表しています。英国が完全に欧州の枠組みから外れる日が現実味を帯びる中、欧州全体に緊張感が走っているのでしょう。
EU側が強く主張しているのは、英国との間に「権利と義務のバランスが取れた関係」を構築することです。これは、英国がEUの厳しい規制やルールを逃れながら、関税ゼロなどの自由貿易によるメリットだけを享受する、いわゆる「いいとこ取り」を決して許さないという強い意志の表れといえます。SNS上でも「これからの交渉は離脱手続き以上に険しいものになる」といった懸念の声が数多く寄せられているようです。
今回の声明は、2019年12月12日から13日にかけて開催された首脳会議を経てまとめられました。加盟国が最も恐れているのは、英国企業がEU環境や労働基準の規制から解放されることで不当に競争力を高め、その状態で自由に輸出を行ってくる事態です。ドイツのメルケル首相が「すぐ隣に強力な競合相手が現れる」と警鐘を鳴らした言葉には、隣国に対する並々ならぬ警戒心が滲み出ているでしょう。
「ダンピング」を許さない!EUが掲げる公平な競争の条件
今後の交渉の鍵を握るのが、フォンデアライエン欧州委員長が掲げた「関税ゼロ、割り当てゼロ、ダンピングゼロ」という目標です。ここで言う「割り当て」とは、輸入できる量に制限を設けないことを指します。また「ダンピング」とは、不当に安い価格で商品を販売し、他国の市場を混乱させる行為です。EU側は、英国が独自の低い基準を設けて安売り競争を仕掛けることを、徹底的に阻止したい考えなのです。
フランスのマクロン大統領も、英国が密接な貿易関係を望むのであれば、他の分野でもEUの規制に歩み寄るべきだと語っています。これは、経済的な繋がりを保ちたいなら、ルールも自分勝手には変えさせないという明確な牽制と言えるでしょう。交渉の窓口は、これまで離脱実務を率いてきたバルニエ首席交渉官が引き続き担当することが決まり、EU側は鉄の結束で英国との対決に備えています。
私個人の見解としては、今回のEUの対応は、組織の崩壊を防ぐための防衛本能に近いものだと感じます。もし英国が離脱後に何のペナルティもなく繁栄してしまえば、他の加盟国にも離脱の連鎖が広がりかねないからです。ミシェルEU大統領が「どんな犠牲を払ってもまとめるわけではない」と断言した背景には、欧州統合の理念という「一線」を絶対に譲らないという、プライドと危機感が共存しているのではないでしょうか。
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