freeeが2019年12月17日に東証マザーズ上場!赤字上場への期待と不安が交錯するIPO市場の試金石

2019年12月17日、クラウド会計ソフトの旗手として知られる「freee(フリー)」が、ついに東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たします。発行価格を基にした時価総額は約930億円にものぼり、2019年のIPO(新規株式公開)市場では2番目の規模を誇る超大型案件として、投資家たちから熱い視線を浴びています。

IPOとは、未上場企業が証券取引所に株式を上場させ、誰でも取引できるようにすることを指します。今回のfreeeの上場は、単なる一企業の門出というだけでなく、赤字を抱えたまま市場に挑むスタートアップ企業が、日本の投資家にどう受け入れられるかを占う重要な「試金石」になると言えるでしょう。

近年のトレンドとして、将来の爆発的な成長を見越して赤字のまま上場するケースが急増しています。2019年6月期のfreeeの決算は27億円の赤字でしたが、これは主力製品の開発や市場シェア拡大のための「先行投資」に資金を投じているためです。SNS上でも「これからの会計のスタンダードを作る企業だ」と期待する声が上がる一方で、慎重な見方も根強く残っています。

スポンサーリンク

世界的なトレンドと「ユニコーン」の苦悩

欧米に目を向けると、赤字上場はもはや珍しいことではありません。2019年11月末時点のデータでは、米国で上場した企業の約73%、欧州でも約55%が最終赤字の状態です。企業価値が10億ドルを超える未上場企業、いわゆる「ユニコーン企業」にとっても、利益より成長速度を優先する戦略は当たり前の選択肢となっています。

例えば、2019年3月に上場した米配車大手の「リフト」は、売上高が前年比2倍と急成長する一方で、赤字額も拡大しています。かつての米アマゾンも上場後6年間は赤字が続きましたが、現在は世界屈指の企業へと成長を遂げました。この「第2のアマゾン」を探し求める投資家たちの熱狂が、赤字企業への資金流入を支えてきた背景があります。

しかし、足元では風向きに変化も生じています。米ウィーカンパニーの経営難などをきっかけに、収益化の目途が立たない企業への評価は厳しさを増しているのです。実際にスラックなどの有名IT企業も、上場後の株価が初値を大きく下回るなど、市場は「夢」だけでなく「現実的な稼ぐ力」を問い始めています。

freeeが示す「収益化への道筋」と日本市場の未来

こうした厳しい目に対し、freeeは上場直前に矢継ぎ早に収益改善策を打ち出しました。2019年12月16日には個人事業主向けサービスの値上げを発表し、さらに法人向けプランの見直しによって、より高単価なプロ向けプランへの移行を促すなど、単なる「赤字の成長企業」から脱却する姿勢を明確に示しています。

専門家は、こうした動きを「投資家に対して黒字化への具体的なルートを証明するための戦略」であると分析しています。名刺管理ソフトのSansanが2019年10月15日に黒字転換の見通しを発表し、株価を回復させた成功例があるように、今の日本市場では「成長性」と「持続可能な収益性」のバランスが強く求められているのです。

編集者としての私見ですが、テクノロジーでバックオフィスを効率化するfreeeのサービスは、労働力不足に悩む日本にとって不可欠なインフラになる可能性を秘めています。短期的な利益に一喜一憂せず、この上場を機にどれだけ強固な経営基盤を築けるかが、日本のスタートアップ界全体の未来を左右することになるはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました