2020年01月04日現在、日本のインフラを支える建設・セメント業界は大きな転換期を迎えています。これまで業界を力強く牽引してきた東京オリンピック・パラリンピック関連の大型プロジェクトは、国立競技場の完成などを機に一段階落着きました。いわゆる「五輪ロス」による需要の冷え込みを心配する声も聞かれますが、決して悲観的な状況ばかりではありません。インターネット上では「オリンピックが終わった後の反動が不安」「これからの建設株はどうなるのか」といった、今後の動向を注視するSNSの投稿が数多く見られます。
現在の市場を見渡すと、都市部における大規模な再開発事業や、EC(電子商取引)の拡大に伴う最先端の物流施設への投資意欲は依然として旺盛です。しかしその一方で、長引く米中貿易摩擦の煽りを受け、製造業を中心に設備投資を控える動きが強まっているのは見逃せません。この先行き不透明な世界経済の情勢が、国内の民間投資にどのような影を落とすのか、業界内では緊張感が高まっています。また、セメント業界においては、2019年に相次いで日本を襲った大型台風の爪痕が残り、工事の遅延などから需要が伸び悩む結果となりました。
災害に強い国づくりへ!防災投資と都市再生がもたらす新たな活路
こうした厳しい環境の中で、今後の救世主として期待されているのが「防災・減災」を目的とした国土強靱化(こくどきょうじんか)のためのインフラ投資です。国土強靱化とは、大規模な自然災害が起きた際にも致命的な被害を受けず、迅速に回復できる強くてしなやかな国をつくるための取り組みを指します。度重なる豪雨や台風被害を受けて、政府による公共投資の強化が叫ばれており、このセメント需要の底上げが業界の確かな追い風になるでしょう。首都圏を中心に目白押しとなっている都市再開発も、これからの需要を力強く後押しする見込みです。
編集部としては、五輪というお祭り騒ぎの特需が終わった今こそ、業界の「真の実力」が試される重要な局面であると考えています。単なる華やかさを競う建設から、人々の命を守る安全な街づくりや、経済基盤を支える物流網の構築へと、需要の質が本質的にシフトしているのです。一過性のブームに頼るのではなく、社会的な課題を解決する持続可能な投資へ移行することは、日本経済にとっても非常に健全なステップではないでしょうか。目先の減速感に惑わされず、この構造変化をチャンスと捉える姿勢が、企業にも投資家にも求められています。
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