AI・自動運転で大激変!2020年春闘スタート、「一律賃上げ」から「人への投資」へ日本の雇用がシフトする理由

日本のビジネスシーンに、いよいよ歴史的な大転換の波が押し寄せてきました。2020年1月28日、日本の労働環境を大きく左右する春季労使交渉、いわゆる「春闘」が本格的に幕を開けたのです。これまでの春闘といえば、どれだけ基本給を一律で底上げできるかという「ベースアップ(ベア)」の金額に注目が集まるのが常でした。しかし、デジタル化の猛烈なスピードを前に、今年はこれまでの景色ががらりと一変しています。

インターネット上やSNSでも、この新しい動きに対して「ついに日本も変わるか」「能力のある人が報われる時代になってほしい」といった期待の声が続々と上がっています。その一方で、「一律で上がらないと、置き去りにされる人が出るのでは」という不安のつぶやきも散見され、世間の関心の高さが伺えます。従来の給与体系を維持するだけでは、世界から取り残されてしまうという危機感が、経営側と労働者側の双方に強く漂っているのでしょう。

経団連の中西宏明会長と、連合の神津里季生会長によるトップ会談では、これからの日本経済を活性化させるための熱い議論が交わされました。中西会長は、年功序列や新卒一括採用といった長年続いた「日本型雇用制度」の限界を指摘しています。人工知能(AI)や自動運転といった最先端技術の分野では、世界中で熾烈なスカウト合戦が繰り広げられているため、従来の横並びの仕組みでは優秀な人材を惹きつけることができないからです。

実際に、国内の有力企業はすでに大胆な行動を起こしています。富士通やNTTデータは高度なITスキルを持つ人材に対して年収2000万円から3000万円という破格の条件を提示し、ソニーにいたっては1000万円以上で上限を設けない制度を導入しました。このように仕事の成果や専門性に応じて報酬を決める仕組みを「ジョブ型雇用」と呼びます。年齢に関係なく、発揮された能力に対して正当に投資する仕組みへの変革が急務となっています。

しかし、足元の経済状況を見渡すと、製造業を中心に業績の低迷が続いており、厳しい現実に直面しています。これまで目標とされてきた「2%の賃上げ」を維持するのはかなり難しい情勢とみられており、一律のベア要求に対して企業側が横並びで満額回答を出すことは期待薄です。だからこそ、固定費の増加に直結する賃上げの代わりに、従業員のスキルアップを支援する「人への投資」へと交渉の軸足が移っているのです。

今回の春闘で特に象徴的なのが、電機連合が人材教育などの投資について柔軟に認める姿勢を初めて打ち出した点です。具体的には、個人の裁量で働き方を決める「裁量労働制」や、社会人が必要なスキルを学び直す「リカレント教育」の導入が多くの企業で検討される見通しとなっています。私は、この学び直しの機会を提供することこそが、長期的な視点で企業の競争力を高め、労働者の市場価値を上げる最善の策であると考えます。

もちろん、労働組合側が完全に賃上げの手を緩めたわけではありません。金属労協の高倉明議長が「あくまで賃金にこだわって交渉する」と宣言しているように、底上げへの情熱は健在です。さらに連合は、すべての組合に対して企業内最低賃金の協定を結ぶよう呼びかけ、格差の是正に乗り出しました。デジタル時代への構造改革を進めるトップ層への高額報酬と、足元を支える労働者の底上げという、双方のアプローチの綱引きに注目です。

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