地球規模で深刻化する海洋のプラスチック汚染に対して、世界中で危機感が高まっています。このような状況下で、小売業界を中心に従来のプラスチック製袋から紙袋へとシフトする動きが本格化してきました。SNS上でも「買い物をしたときに紙袋をもらうと環境に配慮している企業だと感じて嬉しくなる」といった好意的な声が多数寄せられており、消費者の目線も急激に変化しているようです。この環境先進国への歩みは、単なる一時的なブームにとどまらず、これからのビジネスの標準になっていくに違いありません。
紙袋の主要な原料となるのが「クラフト紙」です。これは化学的な製造方法を用いて作られる、非常に強度の高い茶色い包装紙のことで、破れにくい特性から重い荷物を入れる袋に最適とされています。紙袋の大手企業である大昭和紙工産業の斉藤了介社長によると、2019年の紙袋の販売枚数は前年と比べて1.5%増加し、金額ベースでも0.8%の伸びを記録したそうです。脱プラスチックの潮流が、確実に紙袋の需要を押し上げている証拠と言えるでしょう。
その一方で、興味深いことに原料である原紙の使用量は1.3%減少しています。斉藤社長はこの背景について、エコロジーへの配慮から全体的に袋のサイズが小型化しているためだと分析されました。さらに、百貨店などで購入した洋服などの高級品を、店頭からそのまま自宅へ宅配便で送るライフスタイルが定着してきたことも、大型の紙袋の利用を減らした要因のようです。こうした柔軟な消費者行動の変化に、時代の手触りを感じずにはいられません。
気になるクラフト紙の価格についても、製紙各社が打ち出した約15%の値上げが2018年8月までに浸透し、現在は1キログラムあたり152円から159円の間で安定しています。燃料や原材料費の高騰を受け、大昭和紙工産業ではこの値上げを受け入れつつ、製品価格への転嫁を実施したところ、ほぼすべての取引先に承諾されたそうです。コスト増を乗り越えられるほど、現在の紙袋に対する社会的な信頼と価値は揺るぎないものになっているのでしょう。
斉藤社長は、この劇的なトレンドの起点として、ファストファッション大手のH&Mジャパンが2018年末に日本国内の全店舗でレジ袋を紙袋へ切り替えた事例を挙げました。この決断が業界に大きな衝撃を与え、現在ではファストフード店やテーマパーク、お土産物店などからも問い合わせが殺到しているそうです。一企業の先進的な取り組みが、社会全体を動かす呼び水となった好例であり、こうした挑戦的な姿勢には深く感銘を受けます。
さらに、2020年7月からはレジ袋の有料化が法律で義務付けられます。日本国内で年間約450億枚も消費されているレジ袋ですが、その一部が約150億枚の市場規模を持つ紙袋へと移行するだけで、紙袋業界は10%以上も急成長する見込みです。日本製紙連合会が2019年末に行った調査でも、約7割の人がプラスチックから紙袋への変更に賛成と回答しており、消費者の環境への意識は想像以上に高まっていることが伺えます。
紙袋はプラスチック製に比べて製造コストがかかりますが、これからの消費者は環境に対して誠実な企業を厳選して支持していくはずです。斉藤社長が強調するように、紙は適切に管理された森林から生まれる再生可能な天然資源であり、正しく木を切り、使うことは森の維持にも貢献します。私たちは今こそ、地球に優しい紙製品の価値を見つめ直し、エシカルな選択をビジネスや日常生活の主軸に据えるべきではないでしょうか。
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