大豆相場への影響は?ブラジルで過去最高の豊作が現実味!米中貿易合意への失望と重なり軟調推移が続く見込み

世界の台所を支える大豆の市場に、今大きな地殻変動が起きようとしています。世界最大の大豆生産国として知られるブラジルにおいて、記録的な大豊作がにわかに現実味を帯びてきたのです。民間調査会社が穀物地帯で実施した最新の現地調査により、前年を大幅に上回る収穫予想が弾き出されました。国際的な大豆価格は、アメリカと中国の間で交わされた貿易交渉を巡る懸念からすでに元気がありません。そこへ今回の豊作ニュースが重なり、価格をさらに押し下げる要因になりそうです。

ロイター通信の報道によると、ブラジルのコンサルティング会社であるアグロコンサルト社が2020年1月半ばに現地調査を敢行しました。対象となったのは、同国を代表する穀物地帯である中西部の主要地域です。実際の収穫状況などを細かく調べた結果、なんと「単収」が前年比で10%から15%も増加する見通しであることが判明しました。ここで言う単収とは、一定の農地面積からどれだけの農作物が収穫できたかを表す指標であり、農業の生産効率や豊凶を測る上で極めて重要な言葉です。

今回調査された中西部は、国内の他地域に先駆けて収穫がスタートする重要なエリアです。ブラジル全体における大豆生産量の約4分の1を占めているため、この地域の動向は国全体の豊凶を占う羅針盤と言っても過言ではありません。アメリカ農務省が2020年1月に発表した穀物需給報告でも、2019年から2020年シーズンのブラジル産大豆の生産予測は1億2300万トンと、過去最高を記録しています。元々の予想が現地調査で裏付けられ、市場関係者の間でも確信に変わりつつある状況です。

こうした背景もあり、大豆の国際指標であるシカゴ大豆先物相場は冴えない展開が続いています。2020年1月24日の終値は1ブッシェルあたり9.02ドルまで下落しました。これは米中両国が貿易交渉の「第1段階の合意」を大々的に表明した2019年12月中旬の水準を割り込む安さです。ブラジルの供給過剰感だけでなく、2020年1月15日に公開された米中合意の文書に具体的な農産物の購入量や金額が明記されていなかったことが、投資家の失望売りを誘う形となりました。

SNS上でもこのニュースは注目を集めており、「大豆が安くなれば豆腐や納豆の値段も下がるのだろうか」といった身近な食生活への影響を期待する声が上がっています。その一方で、「南米がこれだけ豊作だと、アメリカの農家は米中合意があっても大豆を売るのに苦労しそう」と、国際政治の先行きを不安視する鋭い意見も散見されました。地球の裏側の出来事とはいえ、私たちの食卓や世界経済に直結する話題であるため、多くのネットユーザーが敏感に反応している模様です。

現在、ブラジルでは着々と収穫作業が進められており、早ければ2020年2月にも出荷が開始される見込みです。さらに4月以降になれば、いよいよ本格的な輸出シーズンが到来します。こうなると市場では「中国がわざわざ高いアメリカ産大豆を買い付けるメリットは皆無である」との見方が大勢を占めるでしょう。安価で大量のブラジル産が市場に溢れる中、大豆相場が再び上昇に転じるのは極めて難しいと言えます。

ここからは私自身の見解ですが、今回のブラジルの大豊作は、世界的な食料安定供給という観点では非常に喜ばしいニュースです。しかし、米中貿易摩擦の道具として振り回されてきた大豆市場にとっては、さらなる混乱の火種になりかねないと危惧しています。安価な穀物は家畜の飼料代を下げて食肉価格の安定に繋がるメリットもありますが、生産者の利益を圧迫しすぎれば長期的な農業衰退を招きます。目先の価格下落に一喜一憂せず、持続可能な流通の仕組みを注視していく必要があるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました