3年ぶりの減少!米貿易赤字が示すトランプ政権の対中関税政策と激変する経済地図

2020年2月5日にアメリカ商務省が発表した2019年の貿易統計は、多くの関係者を驚かせる結果となりました。モノの貿易赤字が8529億4900万ドルと前年比で2.5%減少したのです。これは2016年以来、実に3年ぶりの縮小であり、トランプ政権発足後では初めて達成された成果となります。かねてよりトランプ大統領が掲げていた「貿易赤字の削減」という公約が、数字の上では一歩前進した形といえるでしょう。

今回の減少を主導したのは、対中国貿易における劇的な変化です。関税の引き上げという強力な措置が功を奏し、対中赤字は前年比で17.6%も減少しました。貿易戦争の渦中、中国からの輸入品に対して高関税が課されたことで、輸入額が大幅に抑制されたためです。これには、企業がサプライチェーン、つまり原料調達から製造・販売に至るまでの供給網を慌ただしく再編したことも大きく影響しています。

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「回避」の代償、揺らぐ代替調達先の現状

しかし、この数字を単純に喜べる状況ではないかもしれません。高関税の対象となった中国製品を避けるため、企業は代替地を模索しました。その結果、対メキシコの赤字が26.2%拡大して過去最大を記録し、ベトナムからの輸入も4割増加するなど、貿易の主役が交代する事態となりました。コンピューター部品の対中輸入が7割減る一方で、メキシコやベトナム経由の輸入が急増した事実は、物流の抜け道を探す企業の苦闘を物語っています。

SNS上でもこの話題は大きな反響を呼んでいます。「貿易赤字が減るのは良いことだが、実態はただの付け替えではないか」「結局、物価が上がり消費者にしわ寄せが来るのではないか」といった懐疑的な声が相次いでいます。さらに、米国経済が緩やかに減速したことや、原油の輸出入の変化といった複合的な要因が絡み合っており、この縮小傾向が長続きするかどうかについては、専門家の間でも不透明であるとの見方が強まっています。

政策の是非と見通せない2020年

専門家からは関税政策への評価が二分しています。メリーランド大学のピーター・モリシ名誉教授は「中国市場の開放を迫る関税政策は妥当である」と肯定的に評価する一方で、FRBの研究者は「関税は製造業を守るよりも、むしろ雇用喪失の要因として作用した」という厳しい指摘を行っています。私としても、関税という強硬手段が一時的な数字の改善を生んでも、グローバルな経済全体の調和を乱しているという懸念は拭えません。

2020年を見据えると、さらなる不確定要素が浮上しています。中国による米国産品の購入拡大約束があるものの、新型コロナウイルスの影響により需要自体が冷え込めば、輸出の伸びは期待できません。トランプ大統領にとっては、大統領選を控えた重要な局面での実績といえますが、この関税の「副作用」が今後どのように米経済に影響を及ぼすのか。私たちは、その行く末を慎重に見守る必要があるでしょう。

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