2020年1月24日に閉幕した世界経済フォーラムの年次総会、通称「ダボス会議」をご存知でしょうか。世界中のリーダーがスイスの地に集い、地球規模の課題を議論するこの会議で、今年浮き彫りになったのは、現代社会を覆う「分断」と、それでも見え隠れする「希望」の光です。50回目という節目の開催において、私たちが直面している現実を整理してみたいと思います。
まず直面した大きな壁は、自国第一主義と国際的な協調路線の対立です。初日に登壇したトランプ米大統領は、環太平洋経済連携協定やパリ協定からの離脱を正当化し、「米国第一主義」の成果を強調しました。しかし、今議論されている「ステークホルダー資本主義」——つまり、株主の利益だけでなく、環境や社会貢献を含めた多様な利害関係者を重視する新しい経営姿勢——を実現するには、中国やインドを含む国境を越えた多国間協力が欠かせません。米国の指導力が揺らぐ現状は、世界に不安な影を落としています。
深まる国内の分断と、未来への希望
もう一つの分断は、国や地域の内部で亀裂が広がっていることです。トランプ大統領は、環境保護を訴える人々を過激な社会主義者と批判し、11月の大統領選を控えた国内の政治的な対立をダボスの会場に持ち込みました。また、1月31日に欧州連合を離脱する英国のジョンソン首相が欠席したことで、会場には「英国なき欧州連合」の現実が漂っていました。さらに、香港の林鄭月娥行政長官はビジネスの好調さをアピールしましたが、一国二制度の先行きを案じる厳しい視線が絶えませんでした。
しかし、暗いニュースばかりではありません。環境問題に対して企業経営者が本気で向き合い始めたことが、確かな希望です。世界最大の資産運用会社ブラックロックが、環境に配慮した投資方針を打ち出したことは象徴的でしょう。「気候変動はビジネスのあり方を変革する」というフィンクCEOの言葉通り、経済界が政府の枠組みを超えて協力する姿勢は、大きな転換点と言えます。政府間の摩擦が絶えない中、この経済界の自発的な動きは非常に高く評価すべき取り組みではないでしょうか。
そして、もう一つの輝かしい希望は、次世代を担う若者たちの声です。スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんをはじめとする10代の若者たちが、堂々と世界に向けて発信しました。米国のムニューシン財務長官が「大学で勉強してから」と彼らをたしなめた際、グレタさんがSNS上で「地球温暖化は学位がなくても理解できる」と反論した場面は、インターネット上でも大きな反響を呼びました。若者たちが大人と対等に議論のテーブルにつくようになったことは、未来に向けた大きな進歩と言えるでしょう。
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