13億人以上の人口を抱えるインドで、ネット出前サービス市場が信じられないほどの急成長を遂げています。2020年2月11日現在、現地の食文化を揺るがす巨大な地殻変動が起きており、SNSでも「いよいよ一騎打ちだ」「毎日使うから今後のサービス変化が気になる」と大きな話題を呼んでいるのです。
市場を牽引する2強の一角である「ゾマト・メディア」が、競合である米ウーバーテクノロジーズのインド出前事業「ウーバーイーツ」を買収しました。この衝撃的な合流により、ゾマトのシェアは単純合算で5割を超え、一気に業界首位へと躍り出ることになります。
これに対抗するのが、約4割のシェアを握る「スウィギー」です。インドの都市部では、赤と白のロゴが象徴的なゾマトと、オレンジ色が映えるスウィギーの配達員が街中を埋め尽くしています。まさに、インドの「胃袋」を巡る壮絶な覇権争いが幕を開けたと言えるでしょう。
インドでは、深刻な交通渋滞が都市部の大きな社会問題となっています。そのため、外食に出かけるよりも、わずかな配送料を支払ってアプリで注文する方が、時間を有効活用できるという合理的な選択がビジネスマンの間で定着しました。
また、インドには調理済みのおかずを自宅に持ち帰って食べる「中食(なべしょく・おなかよく)」の文化が元々あまり発達していませんでした。さらにコンビニやスーパーも少ないため、手軽に多様な料理を楽しめるネット出前が、その隙間を埋めるように爆発的な普及を見せています。
伝統的なカレー中心の食生活から、今や日本食や中華料理、ファストフードまでがアプリ一つで自宅に届く時代です。さらに、客席を持たずに出前専門で調理を行う「クラウドキッチン」と呼ばれる新しい形態の店舗も続々と誕生し、食の多様化を力強く後押ししています。
この熱い市場には、世界のIT巨頭も熱視線を送っています。ゾマトの後ろ盾には中国のアリババ集団がつき、スウィギーには同じく中国大手のテンセントが出資しており、まさに代理戦争の様相です。単なる出前を超え、生活の基盤となるプラットフォームを狙う動きと言えます。
しかし、これまでは激しい値引き合戦により、両社とも売上を伸ばしながらも巨額の赤字を計上する消耗戦が続いていました。利用者が「安い方で選ぶ」という現状があるため、今回の市場再編を機に、いかに利益を確保しつつ独自の付加価値を生み出せるかが勝負の分かれ目です。
筆者は、この2強激突がインドの生活をさらに豊かにすると確信しています。単なる価格競争から脱却し、食事以外の配送開拓やサービスの質向上へシフトすることで、世界が注目する最先端の利便性がこの地から誕生するに違いないでしょう。
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