中国で発生した新型コロナウイルスが、ついに日本国内でも人から人へ伝染したことが確認され、社会全体に動揺が広がっています。街中では国籍を問わず、多くの人々がドラッグストアやコンビニへ殺到する姿が日常となりました。企業側も従業員の健康を守るためにマスクの着用を義務付けるなど、異例の対応を迫られている状況です。未曾有の事態に直面し、大きく揺れ動いている2020年2月現在の東京のリアルな様子をレポートします。
いつもなら中国の旧正月である「春節」の休暇を利用した多くの観光客で活気にあふれる東京・銀座の中央通りですが、2020年1月30日の昼、その光景は一変していました。中国政府が海外への団体旅行を禁止した措置の影響を受け、お買い物を楽しむ人々の姿は驚くほどまばらです。かつて銀座5丁目の交差点周辺で見られた、外国人観光客を乗せた大型観光バスが何台も連なる景色は、文字通り街から消え去ってしまいました。
SNS上でも「これほど人がいない銀座は見たことがない」「静かすぎて不気味だ」といった困惑の声が多数投稿されています。中国人向けの旅行会社でガイドとして働く33歳の男性は、本日案内している約30人のツアーが直前の出国だったため実施できたものの、今後の予定はすべてキャンセルになったと肩を落としていました。人通りの消えた寂しい街並みを見つめながら、日本経済への大打撃を懸念する声が現場から漏れています。
本来であれば高級ブランド店での爆買いが風物詩となっていた銀座ですが、今や通行人が手にしているのはコンビニやドラッグストアのレジ袋ばかりです。その中身を覗くと、透けて見えるのは大量のマスクでした。現地のファミリーマートでは、ツアー客のために店頭の在庫をすべて買い占める添乗員の姿も見られ、深刻な品薄状態が続いています。2020年1月31日の朝には、開店前から並ぶ人々のために購入制限が設けられました。
今回、国内初の人から人への感染例として、武漢からのツアー客を乗せたバスの運転手や同行した女性ガイドの陽性が確認されたことは記憶に新しいでしょう。このように、特定の感染源から別の人間へとウイルスが移る現象を「ヒト・ヒト感染」と呼びます。長時間にわたり密閉された車内で一緒に過ごしたことが原因とみられており、移動手段における安全対策への関心がにわかに高まっています。
こうした事態を受け、2020年1月29日の夜、日本最大級のバスターミナルである「バスタ新宿」は異様な熱気に包まれていました。夜行バスの乗客の大半が防護のために口元を覆っており、運行会社側も全国の運転手へ着用を義務付けるマニュアル変更に踏み切っています。車内には消毒液も設置され、大学受験のために上京した地方の高校生からは、目に見えない脅威に対して一刻も早い事態の終息を願う切実な声が聞かれました。
厚生労働省は「過度な恐慌状態に陥ることなく、通常の風邪やインフルエンザと同様の予防に努めてほしい」と呼びかけています。しかし、現場の混乱や観光業への打撃を見る限り、市民の不安を完全に拭い去ることは容易ではありません。単なる風邪の延長と侮るのではなく、手洗いやうがいの徹底といった一人ひとりの冷静かつ確実な自衛策こそが、この国難とも言える局面を乗り越えるための最大の武器になるのではないでしょうか。
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