2019年7月2日、梅雨空が続く中、心まで曇っている就活生や親御さんも多いのではないでしょうか。「まだ内定がひとつもない」「このまま就職できないのでは」という焦燥感。しかし、ここで一度立ち止まって深呼吸をしましょう。実は、皆さんが目にしている「高い内定率」の情報には、大きな落とし穴があるのです。今回は、雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏の分析をもとに、数字のカラクリを紐解きつつ、これからの就活戦線をどう戦うべきか、私の視点も交えてお話しします。
まず大前提としてお伝えしたいのは、たとえ「売り手市場」と呼ばれる現代であっても、誰もが知るような人気企業、いわゆる「キラ星」のような会社に入社できるのは、ほんの一握りの学生だけだということです。ですから、そういった難関企業に落ちてしまうことは、決して恥ずべきことではありませんし、ごく当たり前の現象と言えるでしょう。
ネット上の「内定率9割」という情報の正体
最近、インターネットやSNSを見ていると「6月時点で内定率9割超え」といったセンセーショナルな見出しが踊っています。TwitterなどのSNSでは「内定もらった!」という歓喜の報告ばかりが目につき、「決まっていないのは自分だけ?」と孤独感に苛まれている方もいるかもしれません。しかし、この数字を額面通りに受け取ってはいけません。実はこういったデータの多くは、就職情報サイトに早期から登録し、インターンシップなどへ積極的に参加していた「就活意識の高い層」を対象にした調査結果なのです。
つまり、これらは平均的な学生の全体像ではなく、あくまで「先鋭組」の動向を示した数値に過ぎません。私の肌感覚としても、一部の有名大学を除いた一般的な大学を見渡せば、6月末の段階でまだ進路が決定していない学生の方がむしろ多数派であると感じます。「自分だけが取り残されている」という感覚は、作られた数字による錯覚なのです。
公的データにも潜む「数字の高止まり」バイアス
では、より信頼できる公的なデータはどうなっているのでしょうか。厚生労働省が発表している「就職内定状況調査」を見てみましょう。昨年の10月1日時点での内定率は77%でした。これは過去20年間で最高の数字であり、確かに雇用環境が良いことは間違いありません。しかし、専門的な視点で見ると、この公的数字でさえ実態より「高め」に出ている可能性が高いのです。
ここで少し解説を挟みますが、統計における「母集団の偏り」という問題があります。実はこの調査、全国に800近くある大学のうち、たった62校しか対象にしていません。しかもその内訳を見ると、国公立大学が24校も含まれているのです。実際の大学数における国公立の割合は約2割ですが、調査対象では4割を占めています。一般的に地元就職に強く偏差値も高めな国公立大生が多く含まれれば、当然、内定率は跳ね上がります。
さらに言えば、この調査の分母は「就職希望者」に限られています。最初から就職を希望しない学生は計算に含まれていないため、実質的な内定率はさらに低くなるはずです。このように、数字には必ず裏付けとなる条件があり、それを無視して「77%」という結果だけを見て落ち込む必要は全くありません。
編集部より:落ち込むことは「本気」の証拠です
ここまで数字の裏側を見てきましたが、私自身の意見として強調したいのは、「落ち込んでいる自分を責めないでほしい」ということです。不採用通知を見て心が痛むのは、それだけ真剣に将来と向き合い、努力をしてきた証拠に他なりません。SNS上では華やかな結果ばかりがシェアされがちですが、その裏には無数の「祈られた(不採用だった)」経験を持つ学生が溢れています。沈黙している多数派の存在を忘れないでください。
10月1日時点での過去最高値が77%ということは、裏を返せば、秋になってもチャンスは十分に残されているということです。就職ナビサイトや、若者向けの「新卒応援ハローワーク」に目を向けてみてください。そこにはまだ、皆さんの力を必要としている企業がたくさん眠っています。
今は辛い時期かもしれませんが、これからの出会いが本当の縁になることも多々あります。一度気持ちを整理して、就活の中盤戦へと挑んでいきましょう。あなたに合う場所は、必ず見つかるはずです。
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