米国財務省が2019年5月28日に公表した半期為替報告書において、日本が前回に引き続き**「監視リスト」に指定されました。この報告書は、米国の主要な貿易相手国の為替政策を分析し、不公平な通貨安誘導がないかを監視するものです。リストへの指定は、直ちに制裁が科されるわけではありませんが、日本政府はこの決定を受け、日本の経常黒字と為替相場の関連性が低下しているという点を米国に粘り強く訴えていく方針を固めました。
経常黒字とは、一国の海外とのモノやサービスの取引、投資による収益などを含めた総合的な収支を示す指標です。日本政府が特に強調したいのは、現在の日本の黒字の大部分が、輸出入などの貿易ではなく、海外への投資から得られる投資収益によるものであるという点です。投資収益は、為替の変動による影響が貿易収益に比べて小さいため、為替相場を操作しても黒字の大きさにはあまり影響しないという理屈で、米国の理解を得たい狙いがあります。
SNSでは、「日本円安になっても儲からない構造を理解してほしい」「米国は日本の貿易黒字ばかり見て投資収益を無視しているのでは」「為替が貿易交渉の切り札にされるのは困る」といった、米国の監視体制に対する不満と、日本政府の主張に理解を示す声が見られました。日米は現在、貿易協定の交渉を進めている最中であり、為替問題が交渉の大きな障害となることを避けたいというのが、日本側の切実な思いでしょう。
日本の財務省幹部は、今回の半期為替報告書の発表が、通常よりも1カ月以上遅れた点について、「対象国を追加する作業に時間がかかったのが主な理由」と分析しています。また、報告書における日本に関する表現は、前回と比較して特に強いものはないため、「日米貿易交渉への特段のけん制球ではないだろう」という見解を示しました。しかし、米国が貿易交渉において、通貨安誘導を制限する為替条項の導入を求めている事実は依然として変わらず、日本側としては予断を許さない状況が続きます。
私見を述べさせていただきますと、日本政府の「投資収益による黒字は為替の影響が小さい」という主張は、現在の日本の経済構造を正しく示しており、非常に説得力があると言えます。世界の金融市場が複雑化し、モノの貿易だけでなく資本の移動が経済に大きな影響を与える現代において、米国が従来の「貿易黒字の大きさ=為替操作の疑い」という単純な図式だけで判断することは、適切ではないでしょう。日本としては、この経済構造の変化を国際的な場で明確に示し、米国との建設的な対話を通じて、為替問題を貿易交渉の足かせにさせないための戦略的なコミュニケーション**を徹底することが重要だと考えます。
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