🔥スバルの米国一辺倒戦略は吉か凶か?【アウトバック新型投入】急加速する「稼ぐ力」への集中と潜むリスク

SUBARU(スバル)が、グローバル戦略において米国市場への傾斜を一層強めている状況が鮮明になっています。同社の世界販売台数に占める米国での比率は、今や7割に迫る勢いです。2020年3月期の増販目標も、この米国での販売拡大に大きく頼らざるを得ない構造になっているのが現状といえるでしょう。2017年秋に発覚した完成車検査不正問題により、国内でのブランドイメージ回復が道半ばである中、米国へのシフトは自然な流れのように見えますが、これは持続的な成長を描く上での大きなリスクも同時に抱えていると、編集部は見ています。

2019年5月10日に行われた決算発表の記者会見で、中村知美社長は「重点市場で好調を維持しており、SUBARUの稼ぐ力は落ちていない」と、力強い姿勢をアピールされました。2019年3月期の連結業績は、リコール費用が大きく影響し、大幅な減益となってしまいましたが、裏を返せば、高収益を誇る米国市場が、スバルにとって現在そして将来の生命線であることを示しています。このため、米国市場に向けた新型車の投入が相次いでいるのです。

例えば、2019年4月のニューヨーク国際自動車ショーでは、新型**SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)**である「アウトバック」が世界で初公開されました。これは5年ぶりのフルモデルチェンジとなる6代目で、今秋には米国やカナダでの発売が予定されていますが、日本への導入計画は現時点では未定となっています。この新型アウトバックには、スバルが独自開発した共通車台基盤「スバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)」が採用されており、次世代の主軸を担う中核車として期待が寄せられています。アウトバックは、米国販売の2割強を占める最量販モデルであり、販売台数・収益の両面で、その貢献度に最大限のアクセルを踏み込む計画です。

また、これ以外にも、スバル初の**PHV(プラグインハイブリッド車)**や、北米専用の3列シート車「アセント」(トライベッカの後継)など、魅力的な新型車が続々と投入されています。特にアセントは、日本ではミニバンに対抗できる多人数乗りモデルでありながら、やはり国内での取り扱い予定はありません。さらに、モータースポーツ統括会社であるスバルテクニカインターナショナルが、最高級モデル「Sシリーズ」初のスポーツ車「S209」を発表したり、今年で30周年を迎えるスバルの象徴的存在「レガシィ」の新型も登場したりするなど、新型車攻勢が目白押しです。これらの新型車の多くが、米国での自動車ショーを舞台としてお披露目されている点も、米国シフトを象徴していますね。

スバルの2019年3月期の販売台数は99万9000台と、3年ぶりに100万台を下回ってしまいました。地域別に見ると、米国が65万9000台でトップ、日本は13万5000台と大きく差が開いています。これは、自社の不正検査問題による国内でのダメージから抜けきれず、米国偏重を強めるという構図が背景にあることは否めません。一部のSNSユーザーからは、「日本メーカーなのに国内より米国優先は寂しい」という声や、一方で「米国で稼いでいるからこそ、国内でのリコール対応などもできる」といった、米国一辺倒戦略に対する賛否両論の反響が見受けられます。

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「米国一本足」の戦略が抱える二つの大きな懸念

しかし、世界中の自動車メーカーを見渡しても、ここまで特定の国に集中する「米国一本足」の戦略は極めて異例といえるでしょう。私見ですが、企業全体の自浄作用を高めるためには、一旦立ち止まり、再発防止を徹底して膿を出し切ることも、一つの選択肢であったはずです。目先の収益回復を優先するあまり、性急な米国集中に舵を切ったとすれば、将来的な持続的成長のチャンスを逃すことにつながりかねません。今の体制では、米国で稼ぎ続けることにしがみつくような形になり、真の意味での強固な成長基盤を描くことは難しいのではないでしょうか。

この米国一辺倒の戦略には、二つの大きな懸念が潜んでいます。一つは、米国新車マーケットの減速傾向です。どんな市場にも波があり、好調を維持していても、いつかは減速の時期が訪れます。その際、他に収益の柱がない状況は、会社の業績に致命的な打撃を与えかねません。もう一つは、米国を震源地とする通商問題のリスクです。関税や貿易摩擦といった外部環境の変動は、企業の努力だけでは回避できない要素であり、特定の市場に頼りすぎていると、その影響をまともに受けてしまうことになります。スバルが「稼ぐ力」を落とさないためにも、単なる急場しのぎで終わらせず、多極化を目指すための戦略的な視点を持つことが、今、最も重要であると強く訴えたいところです。

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