フィリピンBPO業界に激震!ドゥテルテ大統領の「首都圏特区停止」がもたらす光と影とは?

フィリピンの経済を牽引する巨大産業に、今、大きな転換期が訪れています。2019年06月に下されたドゥテルテ大統領による「マニラ首都圏での経済特区新設停止」の命令が、ビジネス・プロセス・アウトソーシング、通称BPO業界に波紋を広げているのです。南部ダバオ出身の大統領は、就任した2016年から一貫して、マニラ一極集中の是正と地方の活性化を掲げてきました。

BPOとは、企業の業務プロセスを専門業者へ外部委託することを指します。フィリピンではコールセンターやITサポートが主力で、高い英語力とスキルを持つ人材が不可欠です。しかし、フィリピン情報技術ビジネス・プロセス協会(IBPAP)のレイ・ウンタル会長は、2019年06月下旬、この決定が短期的にはマイナスの影響を及ぼすと警鐘を鳴らしました。企業の多くは、依然として利便性の高い首都圏を求めているのが現状です。

SNS上では、このニュースに対して「地方に仕事が増えるのは嬉しいが、ネット環境や停電が心配だ」といったインフラへの懸念や、「マニラの渋滞を考えれば分散は妥当だが、急すぎるのではないか」という困惑の声が上がっています。経済特区への入居による税制優遇が受けられなくなることは、コストに敏感なグローバル企業にとって、フィリピンへの投資自体を見直すリスクを孕んでいると言えるでしょう。

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成長へのブレーキか、それとも地方創生の鍵か

不動産市場のデータによれば、2019年01月から06月の間に契約されたオフィスの過半数がBPO関連でした。しかし、今回の規制を受けて、2022年までの売上予測や雇用者数が下方修正される可能性が出ています。在フィリピン米国商工会議所のジョン・フォーブス氏は、熟練労働者の不足が成長を妨げ、結果としてフィリピン全体の経済成長率を押し下げてしまうのではないかと、強い危機感を露わにしています。

一方で、この状況を前向きに捉える視点も存在します。不動産コンサルティングの専門家は、地方であれば賃料や人件費を大幅に抑えられる点を指摘しています。長期的には、新たな労働市場を開拓するチャンスとなるかもしれません。私は、この政策が成功するかは政府がどれだけ迅速に地方のインフラ整備を進められるかにかかっていると考えます。強引な分散は毒にも薬にもなり得るからです。

現在、フィリピン経済区庁(PEZA)のプラザ長官は、混乱を避けるために大統領へ少なくとも6カ月の猶予期間を設けるよう求めています。未署名の申請案件が多数残る中、2019年07月24日時点の状況としては、業界全体が固唾を呑んで政府の次の一手を見守っている状態です。アジアの「ビジネスの窓口」として、フィリピンがどのようにこの課題を乗り越えていくのか、目が離せません。

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