2019年も残すところあとわずかとなりましたが、今年の食文化を彩った主役たちの明暗が分かれ始めています。実名型グルメ口コミサイトを運営するRettyが2019年12月20日までに発表したデータによれば、今年のキーワードは間違いなく「高級食パン」と「タピオカ」でした。SNSでも「毎日食べたい」という声が溢れた高級食パンは、前年比で口コミ数が3.3倍という驚異的な伸びを記録し、堂々の首位に輝いています。
高級食パンとは、一般的なスーパーで販売されている1斤150円前後のものとは一線を画す、1本(約2斤)1,000円を超えるような贅沢なパンを指します。「乃が美」や「嵜本」といった関西発の専門店が首都圏へ進出したことで、日常の食卓を少し豪華にする「プチ贅沢」の象徴となりました。もともと日本人はパン好きですが、贈答品としても通用するクオリティが確立されたことが、爆発的なヒットに繋がったのでしょう。
タピオカブームは曲がり角?都心部から見える変化の兆し
一方で、社会現象にもなった「タピオカ」は、口コミ数が2.8倍に増加したものの、足元では急激な変化が起きています。2019年に入ってから関連店舗数は31倍という凄まじい勢いで膨れ上がり、ビールや鍋に入れるといった変わり種メニューも登場しました。しかし、月次の推移を詳しく分析すると、2019年8月の629回をピークに、現在は月間200回ペースまで投稿が減少しており、ブームの熱狂が急速に冷めている様子が伺えます。
特に流行に敏感な東京の渋谷や新宿では、全体よりも早い2019年4月から6月にかけて既にピークを過ぎていたことが判明しました。SNS上でも「以前ほど並ばずに買えるようになった」という投稿が目立ち始めており、流行の最先端を行く地域では、早くも次のトレンドを模索する動きが出ているのかもしれません。行列がステータスだった時期から、手軽に買える日常の飲み物へと移行する過渡期にあると言えるでしょう。
編集者としての視点で見れば、今回のタピオカブームはSNS映えという強力な武器があった反面、プラスチック容器のゴミ問題といった課題も浮き彫りにしました。流行というものは、タピオカの粒のように形を変えやすく、また非常に流動的なものです。かつて大流行したチーズタッカルビが43%も口コミを減らしたように、飲食業界のサイクルは驚くほど速いのが現実です。定番化への道は、決して平坦なものではないはずです。
それでも、2019年に私たちがこれらから得たワクワク感は本物です。高級食パンが「質の高い日常」を提供し、タピオカが「歩きながら楽しむ文化」を再定義したことは間違いありません。2020年に向けて、また新しい驚きを与えてくれるグルメが登場することを期待せずにはいられません。ブームが去った後に何が残るのか、その答えは私たちの消費行動の先にあるのではないでしょうか。
コメント