千葉県内を拠点に地域経済を支える地方銀行3行の、2019年4月から2019年12月までの期間における決算が2020年2月7日に出そろいました。今回の発表では、各行の明暗が分かれる形となっています。本業による収益力を示す指標である「実質業務純益」において、業界トップを走る千葉銀行が前年の同じ時期と比べてマイナスを記録した一方、京葉銀行と千葉興業銀行はプラスを維持するという対照的な結果となりました。
実質業務純益とは、銀行が本来の業務である貸出や手数料ビジネスなどで稼ぎ出した純粋な利益のことで、企業の基礎的な稼ぐ力を表します。現在、日本全体で長引いている低金利政策の影響により、お金を貸し出した際に入ってくる利息の収入は3行とも伸び悩んでいる状況です。SNS上でも「これだけ超低金利が続くと地方銀行の経営は本当に大変そうだ」「私たちの預金金利が低いのもうなずける」といった、今後の地域金融を心配する声が多く上がっています。
このような逆風が吹き荒れる環境下ですが、各行はただ手をこまねいているわけではありません。一般の顧客に向けた保険や投資信託といった預かり資産の窓口販売が苦戦を強いられる中で、新たな活路を見出しています。それが、企業向けの「法人ビジネス」へのシフトです。銀行側は、企業の資金調達をサポートしたりビジネスの仲介を行ったりすることで、新たな手数料収入を確保しようと懸命に動いています。
ここで、2020年2月7日に決算を公表した千葉銀行の詳細な数字を見ていきましょう。単体における実質業務純益は、前年同期比で1パーセント減少の548億円となりました。これは、これまでに保有していた国債などの債券を売却する動きを抑えたため、売却によって得られる利益が減少したことが主な原因です。一方で、有価証券の利息や配当金が全体を引っ張ったため、資金による利益自体はほぼ横ばいの948億円をキープしています。
さらに注目すべきは、手数料ビジネスにあたる役務取引等利益が157億円にとどまった点でしょう。複数の金融機関が協力して大口の融資を行う「協調融資」や、企業同士を引き合わせる「ビジネスマッチング」といった法人向けの手数料は順調に拡大しました。しかし、個人向けの投資信託や保険の販売が想定より伸びず、全体の利益を大きく押し上げるまでには至っていません。個人の資産運用ニーズをいかに取り込むかが、今後の大きな課題と言えそうです。
その一方で、銀行の最も基本的な役割である貸出金の残高に関しては、非常に明るい兆しが見えています。2019年12月末の時点において、千葉銀行の貸出金残高は5パーセント増の10兆6340億円という巨額の規模に達しました。これは、千葉県内だけでなく東京都内における企業向けの融資が非常に好調だったことが要因です。なお、グループ全体を合わせた連結純利益については、前年同期比で1パーセント減の410億円という結果になりました。
今回の決算発表を受けて、地方銀行が置かれている経営環境の厳しさを改めて痛感させられます。金利による収入が期待できない以上、今後は融資の量だけでなく、コンサルティング能力を高めていかに付加価値を提供できるかが勝負の分かれ目になるはずです。地域の企業に寄り添い、共に成長していく姿勢こそが、これからの時代に地方銀行が生き残るための唯一の道ではないでしょうか。激動の時代に挑む地銀の戦略から、今後も目が離せません。
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