2018年のドラフト会議で大きな注目を集めた高校生「BIG5」のルーキーたちが、プロの舞台で奮闘しています。特に、日本ハムの吉田輝星投手は、2019年6月12日の広島東洋カープ戦で、待望のプロ初勝利を掴み取りました。力投の際、トレードマークのように帽子をはらりと落とす姿は、かつて巨人軍で「小天狗」と呼ばれた堀内恒夫氏を彷彿とさせるもので、その躍動感あふれるピッチングは多くのファンの心を捉えているようです。制球が乱れる要因となるため、少年野球の指導では避けられがちですが、吉田投手に憧れる少年たちがその仕草を真似る光景が増えるのではないでしょうか。
この記念すべき初勝利は、丸刈りだった金足農業高校のエースからプロ野球選手へと、およそ10ヶ月で成長した吉田投手の「頭の中身」がプロ仕様になった証拠でしょう。彼は強力な広島打線をかわそうとするのではなく、「ストレートを軸に攻める」という明確なプランを立て、それを実行に移したのです。この大胆な戦略が功を奏したと言えるでしょう。一方、吉田投手の初勝利に対するSNSでの反響は非常に大きく、「やっぱりスター性がある!」「帽子が落ちるフォームがかっこいい」「金足農時代から応援してた。本当に嬉しい」といった喜びと期待の声であふれていました。
昨秋のドラフト会議で1位指名を受けた高校生は5名いました。吉田投手のほか、ロッテの藤原恭大選手(大阪桐蔭)、広島の小園海斗選手(報徳学園)、中日の根尾昂選手(大阪桐蔭)、オリックスの太田椋選手(天理)です。このうち、開幕一軍スタートを切ったのは藤原選手と小園選手の2名でした。しかし、藤原選手は開幕戦で1番・センターとして出場したものの、6試合で2安打に留まり、小園選手も2試合で二軍落ちするなど、プロの壁にぶつかり苦しんでいる様子がうかがえます。特に注目を集めた根尾選手や、ショートの守備に定評のある太田選手は、開幕前に負傷に見舞われ、出遅れてしまいました。
日本ハムの周到な新人売り出し戦略
一方で、吉田投手のケースは、球団の計画通り二軍でのスタートでした。これは、昨夏の甲子園大会で酷使した肩や肘を焦らず回復させるための「既定方針」です。日本ハムでは、過去にダルビッシュ有投手や大谷翔平選手といった球界を代表する選手たちにも、同様の慎重な育成ステップを踏ませており、これは理にかなった新人育成戦略と言えるでしょう。その裏で、人気、実力ともに抜群の吉田投手の「売り出し作戦」は着実に進行していたのです。栗山英樹監督は、当初3月の時点で、交流戦、しかも甲子園での阪神タイガース戦でデビューさせることを示唆していました。
5月中旬に吉田投手が胃腸炎を患い、計画は一時的にずれましたが、球団は甲子園遠征に帯同させて一軍の雰囲気に慣れさせ、次のカードである地元・札幌ドームでの広島戦をデビュー戦に設定しました。さらに、日本ハムは、プロ野球では公式な情報となる「予告先発」の発表前から、非公式に6月12日のデビューをアナウンスするという、非常にソツのないプロモーションを展開しました。この周到な戦略は狙い通り、平日開催であるにもかかわらず、通常より1万人以上多い3万3千人を超える観客動員に成功したのです。
私は、この日本ハムの「現場」と「営業」が一体となった新人選手の売り出し方は、他球団に一歩リードしていると評価します。特に、故障リスクを考慮した丁寧な育成プランと、人気を最大限に活かすための戦略的なデビュー演出は、観客動員というビジネス面だけでなく、選手を大切に育てようというメッセージにもなっており、ファンからの信頼を得る上でも重要だと考えます。もちろん、デビュー戦の1試合だけで全てを決めつけることはできませんが、吉田輝星投手という「コンテンツ」を最大限に活かすという点で、球団の取り組みは見事でした。今後、他のルーキーたちがどのように一軍の舞台で輝きを見せるのか、そして彼らBIG5の未来がどうなっていくのか、プロ野球ファンとしては目が離せません。
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