2019年5月、「令和」初の国賓として来日したトランプ米大統領(当時)の滞在は、伝統的な外交儀礼にとどまらず、まさに「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)映え」を最大限に意識した、極めて現代的なものとなりました。2019年5月28日の帰国まで、両首脳はツイッターやインスタグラムといったデジタル空間を舞台に、日米の親密さを世界へ強力に発信し続けたのです。
その象徴的な場面が、安倍晋三首相(当時)によって投稿されました。ゴルフを共にした際、安倍首相はトランプ大統領と笑顔で「セルフィー(自撮り)」を撮影し、「新しい令和の時代も日米同S…盟をさらに揺るぎないものに」とのメッセージを添えて発信。トランプ大統領もこれに「いいね」を付け、互いに投稿を「リツイート」(他者の投稿を自分のフォロワーに共有する機能)し合いました。
トランプ大統領自身もSNSの活用に余念がありませんでした。特に「インスタグラム」では、24時間で投稿が消える「ストーリー機能」を使いこなし、ゴルフ、大相撲観戦、スカイツリーのライトアップといった映像を「Outstanding!(すばらしい)」という言葉と共に発信。大統領杯を授与した大相撲観戦の動画は、ツイッターでの再生回数が300万回を超えるなど、日本の文化が瞬く間に世界へ拡散されました。この現代的な発信力に、SNSでは「トランプ大統領がインスタのストーリー使いこなしてて驚いた」「相撲の動画、すごい再生回数。日本の宣伝効果抜群だ」といった声が上がりました。
しかし、この「SNS外交」は、単なる親密アピールだけでは終わりませんでした。トランプ大統領の奔放なツイートは、日本の政治中枢に大きな憶測を呼んだのです。特に波紋を広げたのが、日米貿易交渉について「日本の7月の選挙後(July elections)に進展があるだろう」と言及したツイートでした。参院選の日程が確定していない中でのこの発言、さらに「選挙」が「elections」と複数形であったことから、永田町では「衆参同日選挙のことではないか?」「トランプ氏がうっかり漏らした?」といった憶測が一気に飛び交う事態となりました。
さらにトランプ大統領は、「多くの日本政府高官が、米民主党は米国の失敗を望んでいると私に話した」とも書き込み、日本側を巻き込む形で米国内の政敵を批判するなど、刺激的な投稿も見られました。日米首脳の個人的な「蜜月」をデジタル空間で世界に発信した一方で、その奔放なつぶやきが政局の臆測まで呼ぶという、まさに「トランプ流」のSNS外交が繰り広げられた4日間でした。
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