大学がいかに地域に寄り添い、社会の課題解決に挑んでいるのか。日本経済新聞社が全国755の大学を対象に実施した「大学の地域貢献度調査」の結果が、2019年11月06日に発表されました。自治体や企業との連携、国際化への対応など多角的な視点で算出された今回のランキングで、見事に総合1位に輝いたのは長野県の信州大学です。国立の総合大学が上位を独占する結果となり、地方創生における知の拠点の重要性が改めて浮き彫りとなりました。
SNS上では「地元の大学がランクインしていて誇らしい」「単なる学問だけでなく、地域を支える姿勢が評価されるのは素晴らしい」といった好意的な声が多く寄せられています。一方で「都会の大学よりも、地方大学の方が切実に地域課題に向き合っている印象がある」という鋭い分析も見られました。今回の調査は、単なる教育機関としての枠を超え、大学が地域経済やコミュニティを活性化させる「エンジン」としての役割をいかに果たしているかを証明する形となっています。
信州大学がトップに返り咲き!地方国立大学の圧倒的な存在感
総合ランキングの頂点に立った信州大学は、2015年の調査以来、4年ぶりにトップの座を奪還しました。同大学をはじめ、3位の徳島大学や4位の島根大学など、地方に根ざした国立大学の躍進が非常に目立っています。特に「企業・行政」との連携分野では、信州大学や大阪大学、徳島大学がほぼ満点を獲得しました。これは、大学の研究成果を地域産業に応用する受託研究や、自治体との包括協定が実効性を持って運用されている証拠と言えるでしょう。
また、今回の調査では「グローカル」という視点も重視されています。グローカルとは「グローバル(地球規模)」と「ローカル(地域)」を掛け合わせた言葉で、地域の課題を世界的な視野で解決しようとする考え方です。大阪大学はこの分野で1位を獲得しており、地域の魅力を世界へ発信する支援体制が高く評価されました。地方大学が世界と繋がり、知見を地域へ還元する循環が、今の時代における大学の新しい価値基準になりつつあるのです。
SDGs教育とリカレント教育が切り拓く「学び」の新時代
2018年度から、大学教育の現場ではSDGs(持続可能な開発目標)の浸透が急速に進んでいます。SDGsを冠した専門講座を設けている大学は全体の約6%にとどまるものの、既存の講義の中にエッセンスを盛り込み、次世代のリーダー育成に励む動きが活発です。島根大学のように、高校生と地域振興について議論を深める「高大連携」の取り組みも広がっており、地域の未来を担う人材を育てるための壁が、校門を超えて取り払われようとしています。
さらに、社会人の学び直しである「リカレント教育」への注力も見逃せません。約9割の大学が社会人の受け入れを行っており、名古屋大学では年間1000人を超える実績を誇ります。人生100年時代、専門的な知識をアップデートしたい社会人にとって、大学は再び門戸を叩くべき聖域となっています。私は、大学が「若者のためだけの場所」から「全世代の知のプラットフォーム」へと進化することは、日本の労働生産性を向上させる鍵になると確信しています。
働く場としての大学とワークライフバランスの重要性
今回の調査から新たに加わった「働く場としての大学」という項目では、教職員のワークライフバランスへの取り組みが問われました。地方大学を中心に高得点が見られましたが、これからの大学経営において、多様な働き方を支援する姿勢は不可欠です。教育や研究の質を維持するためには、まずその担い手が健やかに働ける環境が整っていなければなりません。働き方改革を推進する大学こそが、結果として質の高い地域貢献を実現できるのではないでしょうか。
2019年度の調査結果を通じて、大学が「地域との共生」を経営の柱に据えている実態が鮮明になりました。企業との共同研究から、住民向けのリカレント教育、そしてSDGsへの貢献まで、その活動範囲は驚くほど広範です。ランクインした大学のみならず、全国の大学が競い合うように地域への愛着を形にすることで、私たちの暮らしはより豊かになっていくに違いありません。これからも「知の拠点」がもたらす地域へのインパクトに注目していきたいですね。
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