2019年10月31日の東京株式市場において、日本を代表する電機メーカーである日立製作所の株価が激しく揺れ動きました。一時は前日比294円安となる3,990円まで売られ、下落率は約7%に達しています。これは約3週間ぶりの安値水準であり、投資家の間で驚きが広がりました。
株価急落の引き金となったのは、前日の2019年10月30日に発表された巨大な再編劇です。日立は完全子会社の日立オートモティブシステムズと、ホンダ系列の部品メーカーであるケーヒン、ショーワ、日信工業の3社を合併させる方針を明らかにしました。
巨大な「メガサプライヤー」誕生への期待と懸念
この合併により、日立の全売上高に占める自動車部品事業の割合は、これまでの約1割から2割へと倍増する見込みです。会社側は、規模の利益を活かしたコスト削減や技術シナジーを強調していますが、市場の視線は冷ややかと言わざるを得ません。
投資家が懸念しているのは「経営効率の悪化」です。日立の自動車部品事業における2019年3月期の営業利益率は4%弱に留まっています。本業を支える高収益部門への集中を望む海外投資家にとって、あえて採算の低い分野を拡大する戦略は、逆行しているように映ったのでしょう。
「経営資源を投じるべき分野なのか懐疑的だ」という専門家の指摘もあり、構造改革の行方に不透明感が漂っています。SNS上でも「日立はどこへ向かうのか」「ホンダ系を取り込むメリットがまだ見えない」といった、戦略の妥当性を問う声が目立ちました。
下方修正は「織り込み済み」も、重い上値の展開か
また、2019年10月30日には2020年3月期の連結営業利益予想を下方修正し、3年ぶりの減益に転じる見通しも公表されました。ただ、これについては多くの上場子会社の業績から事前に予測されており、市場では「既に織り込まれていた」との冷静な受け止めが大勢です。
私個人の見解としては、CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)と呼ばれる次世代の自動車革命を勝ち抜くには、この規模拡大は避けて通れない道だと感じます。しかし、投資家が求めているのは「数字に裏打ちされた成長」であり、綺麗事だけでは株価は反応しません。
楽天証券の専門家も指摘するように、当面は新たな好材料がない限り、株価の上値は重い展開が続くでしょう。2019年11月1日の終値は5%安の4,069円で引けましたが、今後の統合プロセスでどれだけ具体的な利益改善を示せるかが、信頼回復への鍵となりそうです。
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