2019年11月25日の東京株式市場において、スクウェア・エニックス・ホールディングスの株価が一時、前週末比で4%も跳ね上がる5500円を記録しました。この数字は年初来高値を塗り替えるものであり、市場の熱狂を象徴しています。投資家たちの視線を釘付けにしている主役は、現在社会現象を巻き起こしているスマートフォン向け位置情報ゲーム『ドラゴンクエストウォーク』に他なりません。
株価急騰の起爆剤となったのは、2019年11月21日からスタートした新キャンペーンです。不朽の名作『ドラゴンクエストIV』をテーマにしたこのイベントは、往年のファンから新規プレイヤーまでを熱狂させています。SNS上でも「DQ4イベントが熱すぎる」「ついつい課金してしまった」といった声が溢れ、その勢いのまま国内アプリ売り上げランキングで首位を奪還する快挙を成し遂げました。
専門家の分析によれば、2019年9月12日の配信開始からわずか2カ月ほどで、課金収入は200億円規模に達していると推測されます。この驚異的なペースが維持されれば、年間で1000億円もの大金が同社の売上を押し上げる計算になるでしょう。これは、スクエニが掲げる2020年3月期の連結売上高予想である2700億円の約3割以上に相当する、異次元の収益柱へと成長したことを意味しています。
私個人の見解としても、既存の強力なIP(知的財産)を最新のテクノロジーと融合させた戦略は、極めて秀逸であると感じます。位置情報ゲームというジャンルに「ドラクエ」の物語性を加えたことで、単なる移動が冒険へと昇華されました。この成功は一時的なブームに留まらず、今後のゲーム業界における収益モデルのあり方を再定義する大きな転換点になるのではないでしょうか。
次なる焦点は家庭用ゲーム機の大型タイトルへ
市場の期待が膨らむ一方で、投資家の関心は今後の大型タイトルの動向にも移っています。特にPCや家庭用ゲーム専用機向けに投入される新作は、業績をさらに飛躍させる鍵となります。しかし、こうしたビッグタイトルは発売後の成否が分かれやすい側面も否定できません。そのため、2020年3月の新作発売を前に、一部ではリスクを避けるための売り注文が出る可能性も指摘されています。
現在の株価収益率(PER)は38倍台と、株価が利益に対して割高かどうかを測る指標で見れば決して低くはありません。PERとは、企業の純利益に対して株価が何倍まで買われているかを示すもので、期待値の高さの現れでもあります。強気な市場関係者の間では、2018年6月に記録した上場来高値である5890円を突破するシナリオも現実味を帯びて語られ始めているのです。
スマホゲームでの安定した収益基盤と、伝統的なコンシューマーゲームでの爆発力。この両輪が噛み合った現在のスクウェア・エニックスには、さらなる高みを目指すポテンシャルが十分に備わっていると言えるでしょう。ドラクエという魔法がどこまで株価を押し上げるのか、2019年を締めくくる熱い視線が同社に注がれ続けています。
コメント