私たちが所有する土地や建物に対して課される「固定資産税」において、驚くべき実態が浮き彫りになりました。2018年度、東京23区と全国の政令指定都市における払い戻し件数は、少なくとも14万4500件に達し、その総額は71億8800万円を超えています。本来、所得税のような還付が頻繁に起こるはずのない税種で、これほどの過払いやミスが発生している現状には、行政側の構造的な課題が隠されているようです。
SNS上でも「自分の家も間違っているのではないか」「そんなに還付があるなら専門家に調査を頼みたい」といった、不安と関心の入り混じった声が急増しています。特に東京23区では還付額が44億円と突出しており、もはや他人事ではありません。実は、多くのケースで行政側の計算ミスや評価の誤りが指摘されており、知らぬ間に「納めすぎ」の状態に陥っている納税者が後を絶たないのが現状です。
建材169項目の積み上げ?ミスの温床は「再建築価格方式」にあり
なぜ、これほどまでにミスが多発するのでしょうか。その最大の要因は、1964年から続く「再建築価格方式」という特殊な評価方法にあります。これは、対象の建物を今もう一度建て直した場合にかかる費用を算出する仕組みです。屋根の形状から天井、床の素材、さらには水回りの設備に至るまで、なんと169もの分類を一つずつチェックして積み上げていくという、気の遠くなるような作業が現場で行われています。
例えば、鉄骨造のマンションを、より税率の高い鉄骨鉄筋コンクリート造と誤認して処理してしまうような、単純ながらも致命的なミスが各地で散見されています。専門用語である「評価額」とは、税金を算出する際の基準となる建物の価値を指しますが、この複雑すぎる計算プロセスこそが、自治体の担当者を悩ませ、結果として納税者に不利益をもたらす「負の連鎖」を生み出していると言えるでしょう。
専門コンサルも活況!抜本的な制度改革が求められる時代へ
この現状を背景に、建物の図面や行政資料を精査して過払いを見つけ出すコンサルティング会社も注目を集めています。ある関西のオフィスビルでは、実際の鉄骨量が評価よりも少なかったことが判明し、3500万円もの還付に繋がった事例もあります。このように「言われるがままに払う」のではなく、自身の資産価値を正しく把握しようとする動きは、今後ますます加速していくでしょう。
総務省は2021年の評価替えに向けて、建材の分類を削減するなどの見直しを検討していますが、現場からは「根本的な解決には程遠い」との冷ややかな声も漏れています。海外では売却価格や賃料収入を基準にする簡素な方式が一般的であり、日本の複雑怪奇な制度はガラパゴス化していると言わざるを得ません。公正で透明性の高い税制を実現するためには、前例踏襲を脱却した、真に分かりやすい仕組みへの転換が急務です。
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