2019年11月20日現在、神奈川県の内陸部において大規模な物流拠点施設の建設ラッシュが巻き起こっています。業界大手の日本GLPは、県内に展開する14カ所の施設を将来的に倍増させるという野心的な計画を打ち立てました。同社は相模原市にあるアメリカの建設機械メーカー、キャタピラーの事業所跡地を活用し、敷地面積約14万平方メートルという国内最大級のプロジェクトに着手しています。
この相模原のプロジェクトでは、広大な敷地に全5棟もの巨大な建物を整備する予定となっています。さらに日本GLPは2020年には平塚市でも新たな施設を完成させる見込みであり、愛川町など既存の拠点を合わせ、今後は1年間に約2棟のペースで積極的な開発を進めていく方針です。こうした強気な姿勢の裏には、神奈川県が持つ地理的な優位性と社会構造の変化が大きく関わっていると言えるでしょう。
道路網の進化とEC普及が投資を加速
開発業者たちが神奈川県の内陸部に熱い視線を送る最大の理由は、飛躍的に向上した交通アクセスの利便性です。2014年には首都圏の郊外を環状に結ぶ首都圏中央連絡自動車道、いわゆる圏央道において、東名高速道路と中央自動車道を繋ぐ神奈川県内の区間が開通しました。都心の渋滞を避けて関東一円へスムーズに配送網を構築できるこの道路網の整備によって、物流拠点としての魅力が急激に高まったのです。
さらに、2023年度には新東名高速道路の全線開通も控えており、東西を結ぶ交通の要衝としての期待は膨らむばかりです。これに加えて、インターネットを通じて商品を購入する電子商取引、すなわちECの爆発的な普及が物流需要を牽引しています。ネット通販の利用者が急増する中、消費者の元へ商品をより早く届けるためには、大消費地である首都圏に隣接した神奈川県は絶好の立地条件を備えていると言えます。
また、施設で働く従業員を集めやすいという点も、開発側にとって大きなメリットとなっています。近年は製造業の拠点が再編される影響で大規模な工場跡地が売りに出されるケースが増加しており、それがそのまま広大な物流用地へと生まれ変わっている状況です。SNS上でも「地元に巨大な倉庫ができれば求人が増えそう」と雇用創出を歓迎する声が上がる一方で、「トラックが増えて渋滞や騒音が心配」と周辺環境への影響を懸念する意見も見受けられます。
異業種も参入する活況な市場と今後の展望
参入の動きを見せているのは日本GLPだけにとどまりません。同業のプロロジスは海老名市に延べ床面積約4万平方メートルの施設を整備する計画を発表し、三井不動産も同じく海老名市で約12万平方メートルの巨大施設の着工を2020年度に予定しています。さらには、これまでマンション開発などを主力としていた東京建物までもがこの分野に参入し、2021年から2022年にかけて横浜市や綾瀬市に新たな拠点を構える意向を示しています。
これほどまでに建設が相次いでいるにもかかわらず、不動産業界では供給過剰を心配する声はほとんど聞かれません。不動産情報サービス会社であるCBREの調査結果によると、2019年7月から9月期における首都圏の物流施設の空室率は2.4パーセントを記録しました。空室率とは全体の物件のうち借り手が付いていない割合を示しますが、この数字は2004年の調査開始以来で最も低い水準に達しており、いかに企業からのニーズが逼迫しているかが伺えます。
CBREの高橋加寿子シニアディレクターは、神奈川県内では日用品など消費財を扱うための需要が極めて高く、今後完成予定の物件も次々とテナントの入居が内定していると分析しています。少なくとも今後1年から2年程度は、この活況が継続すると予測しているようです。企業側が業務の効率化を図るために、商品の保管だけでなく梱包や加工といった軽作業までを含めて外部の専門業者へ委託するアウトソーシングの動きが加速していることも、この強気な見方を後押ししています。
私自身、現代の物流施設は単なる「物を置くための巨大な箱」から、高度なシステムを備えた「流通の心臓部」へと進化を遂げていると感じています。各社が単にスペースを貸すだけでなく、多機能型のサービスを競って提供しようとする姿勢は、日本の流通網全体を効率化する上で非常に前向きな動きでしょう。一方で、地域のインフラとして長く機能するためには、周辺住民の生活環境に配慮した道路整備や、自動化技術による労働環境の改善など、開発業者側の持続的な努力が不可欠であると強く主張します。
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