自動車産業を揺るがすアルミ二次合金の最新トレンド!中国の環境規制がもたらす国内価格底入れの真相に迫る

自動車の心臓部であるエンジンなどの部品に欠かせない「アルミ二次合金」の国内価格に、いよいよ底入れの兆しが見えてきました。これまで2018年6月から断続的に下落が続いていた指標価格ですが、2019年12月分は前月から横ばいで推移しています。背景には、これまで国内市場に溢れていた割安な中国製アルミ合金の輸入が減少するという見通しがあり、需給が引き締まるとの予測から、足元では一部の取引価格が早くも反発し始めました。

そもそもアルミ二次合金とは、回収されたアルミスクラップにシリコンなどを混ぜて再び製品化したリサイクル素材のことです。今回の指標品である「AD12.1」の2019年12月取引分における問屋卸値は、1トンあたり34万8000円前後を記録しました。SNS上でも「自動車の製造コストに直結する動きだ」「素材の価格が上がれば最終的な車製品にも影響が出るのではないか」といった、先行きを注視する声が数多く上がっています。

これまでの国内価格は、原料となるスクラップの価格下落や、景気減速による自動車向け需要の低迷から厳しい下落基調にありました。世界的な指標であるロンドン金属取引所(LME)の地金先物価格も、米中対立が激化した2018年夏から右肩下がりを続け、国内の関連取引も連動して値を下げていたのです。合金メーカーからは「需要の落ち込みが激しく、価格を下げざるを得なかった」という切実な声が漏れていましたが、2019年冬に入り市場の空気は一変しました。

相場反転の決定打となったのは、中国政府が推し進める有害物質の発生を防ぐための厳しい環境規制です。中国では2019年7月から非鉄スクラップの輸入を許可制にして数量を大幅に制限しており、2019年10月から12月期のアルミスクラップ輸入許可量は、前の四半期に比べて8割も縮小したとみられます。これにより現地のメーカーは深刻な原料不足に陥り、減産を余儀なくされているのが実情です。

日本の自動車部品向けアルミ二次合金の年間需要は約100万トンですが、2018年度の貿易統計によると、その4割近くにあたる37万トンを中国からの輸入に頼っていました。中国での減産により、これまでのペースで輸入を続けることは極めて困難になるでしょう。日本国内のメーカーは2008年のリーマン・ショック以降に生産規模を縮小しているため、中国品の減少分を国内生産だけで補うのは容易ではありません。

大手合金メーカーである大紀アルミニウム工業所の山岡正男常務執行役員も「2020年1月から3月分の取引価格は足元で既に反発している」と明かしています。日本アルミニウム合金協会のデータでは、国内生産量は2019年10月まで10カ月連続で前年を割り込んでおり、自動車向けの需要自体はまだ完全には回復していません。しかし供給の急減という強い圧力が、今後の取引価格をさらに押し上げていくことは間違いないでしょう。

私自身の見解といたしましては、今回の価格底入れは単なる一時的な市況の変動ではなく、グローバルな環境規制が製造業のサプライチェーンを直撃した象徴的な事例だと捉えています。安価な海外素材に依存し続けるリスクが浮き彫りになった今、日本の自動車産業や部品メーカーは、素材調達の多角化や国内リサイクル網の再構築を急ぐべきです。今後はコスト上昇を跳ね返すような、高付加価値なものづくりへの転換が強く求められるでしょう。

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