2019年10月1日の消費税率引き上げは、日本国内の消費マインドに少なからぬ影を落としました。多くのアパレルブランドがその反動減に苦しむ中、子供服大手として知られるナルミヤ・インターナショナルは、変化を恐れない柔軟な姿勢でこの難局を乗り越えようとしています。
同社の石井稔晃社長は、増税直後の落ち込みを認めつつも、翌月には既存店売上高が前年比プラスに転じたことを明かしました。ネット上でも「ナルミヤの服は可愛いから増税でも買ってしまう」といったファンの根強い声が目立ち、ブランド力の強さが証明されています。
しかしながら、2019年12月から続く異例の暖冬が、冬物の厚手アウターなどの販売に影響を与えていることは否定できません。天候というコントロールできない要素に対し、商品構成の工夫で立ち向かう同社の実力派トップの采配には、業界内からも熱い視線が注がれています。
過去の失敗から学び得た「仕入れと販路」の黄金バランス
かつて2003年頃にピークを迎えた同社の売上高は、その後の10年間で半分以下にまで激減するという苦い経験を持っています。石井社長はこの原因を、特定の百貨店への過度な依存と、リスクを恐れるあまり仕入れを削減してしまったことにあると分析しました。
この痛烈な反省を生かし、現在はショッピングセンターやインターネット通販など、顧客との接点を多角化する戦略へと舵を切っています。小売業の本質は常に新鮮な売り場を維持することであり、予算の枠に縛られず果敢に仕入れを行う姿勢こそが、現在の業績V字回復の原動力です。
ここで重要となるのが、企画から店頭に商品が並ぶまでの期間を示す「リードタイム」の短縮でしょう。これを極限まで短くすることで、目まぐるしく変わるトレンドに素早く対応し、売れ残りという在庫リスクを最小限に抑える緻密な仕組みを徹底的に構築しています。
中国市場への挑戦と2020年に向けた新たな男児向け戦略
同社の成長戦略は国内に留まらず、国境を越えて商品を届ける「越境EC」の手法を用いて、巨大な中国市場へも進出しています。11月の「独身の日」セールでは前年比約7割増という驚異的な成果を収めており、SNSでもその躍進ぶりが大きな話題となりました。
ただ、現地のニーズを完璧に把握することは容易ではなく、男児向け商品が予想外のヒットを記録するなど、新たな発見も多いようです。文化や好みの違いをデータだけに頼らず、柔軟に受け入れる姿勢にこそ、グローバル展開を成功させる鍵があるのではないでしょうか。
2020年2月期の売上高は330億円を予定しており、かつてのピーク時に迫る勢いを見せています。今後は、買収した企業のノウハウを吸収して男児向け事業を育成するとともに、人気ブランド「プティマイン」の百貨店展開など、常識にとらわれない挑戦が続くでしょう。
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