地方の経済を支える中小企業や零細企業にとって、金融機関はどのような存在であるべきでしょうか。2020年1月18日に松江市で開催された島根県信用保証協会主催の金融シンポジウムには、そんな問いの答えを求めて全国から200人以上の熱心な金融関係者が集結しました。ネット上でも「地域金融の未来を変える熱い議論だ」「これからの銀行に求められる姿勢が詰まっている」と、非常に大きな反響を呼んでいます。激動の時代を迎えている地域金融の現場から、今まさに生まれつつある新しい変化の風をお届けします。
基調講演に登壇したコンサルタントの寺岡雅顕氏は、現在の地域金融が大きな正念場を迎えていると警鐘を鳴らしました。若手スタッフの離職による人手不足や、顧客との絆の希薄化といった深刻な課題が多くの現場で浮き彫りになっているからです。このような苦境だからこそ、融資を行うだけでなく本業そのものを手厚くサポートする「リレーションシップバンキング(地域密着型金融)」の本質に立ち返る必要があります。企業と同じ目線で未来を模索する伴走型の支援が、地域の未来を守る鍵になるでしょう。
シンポジウムのパネル討論では、各地で素晴らしい実績を上げるリーダーたちが現場のリアルな声を響かせました。北海道の北門信用金庫で企業支援を率いる伊藤貢作氏は、企業の財務データだけでなく事業の成長性や将来性を評価する「事業性評価」の真髄は、企業の再生にあると力強く断言します。また、長野県の諏訪信用金庫で支店長を務める奥山真司氏も、トップ自らが経営難に直面している顧客のもとへ足を運び、共に再生への道を歩むべきだと語り、会場に集まった多くの参加者が深く頷いていました。
島根県といえば、2019年秋に島根銀行がSBIホールディングスと資本・業務提携を結んだニュースが記憶に新しいところです。この提携により、企業の財務健全性を示す「貸借対照表(バランスシート)」が安定し、地元企業の間にはひとまず安心感が広がりました。しかし、本当の勝負はこれからです。いくら後ろ盾ができても、地域に根差した草の根の金融仲介や、中小企業に寄り添う姿勢が失われてしまっては意味がありません。銀行自身が本気で変わる覚悟が、今まさに試されているのです。
今回のイベントを通じて、私は金融機関が「お金を貸す場所」から「共に課題を解決するパートナー」へ進化する必然性を強く感じました。実際に参加した金融機関からは、経営改善によって企業の信用度を高める「債務者区分のランクアップ」を、支店の成果評価に組み入れたいという前向きな声が早くも上がっています。低金利や過疎化といった荒波のなかでも、本気で顧客と向き合う金融機関の情熱がある限り、地域の経済は必ず再生できると確信しています。
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