現在の外国為替市場において、円の価値が本来あるべき水準よりも低く見積もられている事態をご存じでしょうか。日本経済新聞社と日本経済研究センターが算出した「日経均衡為替レート」の最新データによると、円の理論値は1ドル=107円00銭という結果になりました。実際の市場では1ドル=110円台前半で取引されているため、約3円もの「円安」が進行している計算になります。
ここで注目したい「均衡為替レート(きんこうかわせれーと)」とは、国の借金や対外資産、金利の差など、様々な経済の基礎的条件をもとに弾き出した「為替の適正価格」のことです。SNS上でもこの発表に対して「実は今のドル円は割高なのではないか」「これからドルの下落局面が来るかもしれない」といった、今後の値動きを警戒する声が数多く上がっています。
アメリカの政策が引き金に?理論値が円高に振れた背景
2019年7月1日から2019年9月30日までの期間を対象とした今回の推計では、前回の四半期と比べて1円の円高シフトとなりました。この変化の背景には、アメリカの利下げによる日米の金利差縮小が存在します。さらにトランプ政権による大規模な減税策が財政を圧迫し、アメリカ政府の債務が膨らんだことも、ドルの理論的な価値を引き下げる要因となりました。
こうしたドル安への圧力は、日本円に対してだけではありません。ユーロや中国の人民元など、世界の主要9通貨すべてにおいて、対ドルでの理論値が上昇しているのです。市場の実勢価格が理論値を上回っている現状を踏まえると、今後は世界的に「ドル安・他通貨高」の波が押し寄せる可能性が極めて高いと考えられます。
編集部の視点:乖離が生み出すFX市場のチャンスとリスク
為替相場において、理論値と実勢価格の「ズレ」は格好の取引チャンスになり得ます。例えば韓国ウォンやイギリスのポンドは、現地の景気不安から理論値より5%ほど割安な水準で放置されており、見直し買いの余地を残しています。一方で、中国の人民元は1ドル=6.87元という理論値に対し、実際の相場もほぼ同水準まで戻ってきており、過去の行き過ぎた元安修正が証明された形です。
編集部としては、この適正価格との乖離を「ドル売りのサイン」として捉えるのが自然だと考えています。もちろん相場は心理戦ですから、すぐに107円まで急騰するわけではありません。しかし、マクロ経済の歪みは長期的に必ず修正される傾向があります。FXトレーダーの皆様は、目先のトレンドに惑わされず、この「3円のギャップ」を意識した戦略を組み立てるべきでしょう。
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