✅知っておきたい大人の常識!「おわびの品」に熨斗(のし)はタブーではない?【マナーの専門家が解説】

クレーム対応の研修などで、「おわびの品に熨斗(のし)は付けないほうが良い」という話を聞いて、驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。その理由として、「おめでたい時に付けるものだから、謝罪の贈り物にはふさわしくなく失礼にあたる」と説明されることが多いようです。しかし、この解釈には誤解があることを、マナーデザイナーの岩下宣子さんが解説してくださっています。本来の意味を知ることで、大人のマナーとして自信を持って対応できるようになるでしょう。

そもそも熨斗の由来は、「熨斗鮑(のしあわび)」にあります。これは、鮑を薄く剥いで引き延ばし、乾燥させたもののこと。古来、鮑は栄養が豊富で滋養強壮に良いとされ、「長く延ばす」ことが延命につながるという考えから、長生きや不老不死の妙薬として大変重宝されてきた縁起物なのです。つまり、熨斗は「相手の健康と長寿を祈る気持ち」が込められた、大変おめでたいしるしと言えるでしょう。

では、どのような時に熨斗を付けないかというと、それは弔事(ちょうじ)、つまりご不幸があった際の贈り物です。日本には、愛する人が亡くなった際、生き物の命を絶つことを避けるという風習があり、「生臭物(なまぐさもの)」を避け、精進料理をいただく習慣がありました。香典袋などに熨斗を付けないのは、この「海の幸」である熨斗鮑が生臭物にあたるため、亡くなった方やご遺族に配慮するという意味合いがあるからです。現在では印刷された紙を使うことが一般的になりましたが、贈り物の品物自体が生臭物である場合も、古くからの慣習として熨斗は付けないことになっていました。

この本来の習慣から考えると、お祝いの贈り物だけでなく、普段の手土産やお中元、お歳暮に熨斗を付けるのは、「悲しいこと、不幸なことではありません」という意思を示す証しです。マナーの専門家である筆者の意見としては、おわびの品に熨斗紙を付けることは、この「悲しみ事ではない」というのと同じ意味合いを持つと考えられます。謝罪の品であっても、弔事ではないのですから、熨斗紙を付けたうえで、表書きに「御菓子」や「深謝(しんしゃ)」といった言葉を添えるのが正しい対応でしょう。当初の「おめでたい時に付けるもの」という趣旨が誤解され、謝罪の品には不適切という認識が広まってしまったようです。

しかし、一方で注意すべき事例もあります。かつては病気のお見舞いにも熨斗紙を付けることがありましたが、いつからか「病気を延ばす」という語呂合わせを避けるために、熨斗を付けないのが一般的になっています。このように、マナーの解釈は時代や人々の心情によって変化することがあるのも事実です。SNSなどでの反響を見てみると、「おわびの品に熨斗は失礼だと思っていた」「正式なマナーを知れてよかった」といった声が多く見受けられ、多くの人がこの点を誤解していることがわかります。だからこそ、正しい知識を持つことが、現代を生きる大人にとって非常に大切になるのではないでしょうか。本記事が制作された2019年6月1日の時点では、このようにマナーの専門家によって見解が示されています。

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