世界展開に挑むユニクロの苦悩―新型肺炎と日韓情勢が及ぼす影響とは

世界的なアパレルブランドとして確固たる地位を築いたファーストリテイリングですが、いま大きな岐路に立たされています。順風満帆に見えた海外戦略に、思わぬ試練が重なっているのです。2020年2月5日時点の状況を振り返ると、かつてない難局が同社の屋台骨を揺さぶっています。

その象徴的な光景が、東京の銀座にあるユニクロ店舗で見られました。例年ならば春節(旧正月)の休暇を利用して押し寄せる中国人観光客で溢れかえる時期ですが、2020年1月29日午前の店頭にその姿はまばらでした。代わって目立つのは欧米やイスラム圏からの観光客。この光景の変化は、同社のビジネスモデルが外部環境に極めて敏感であることを如実に物語っています。

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グローバル化の象徴に迫る「稼ぎ頭」の危機

ファーストリテイリングは、柳井正会長兼社長の強力なリーダーシップのもと、海外展開を加速させてきました。実際に2018年8月期の連結決算では海外ユニクロの売上高が国内を追い抜き、続く2019年8月期には営業利益でも海外が国内を上回る結果を残しています。これはアパレル業界において数少ない「グローバル化の成功例」であり、目覚ましい成長軌道を描いてきたはずでした。

ところが、その好調のエンジンである中国市場に「新型コロナウイルス」という巨大な壁が立ちはだかりました。2019年12月末時点で、中国には750もの店舗を構えています。中華圏の事業は売上高で5000億円を超え、営業利益率も17.7%と国内の11.7%を大きく上回る、まさに「稼ぎ頭」です。この地域での停滞は、会社全体にとって無視できない痛手でしょう。

実際、事態は深刻です。ウイルス感染拡大の影響により、2020年1月23日には武漢市内の17店舗が休業に追い込まれ、2月3日時点では湖北省を中心に約270店が営業停止という状況でした。SNS上でも「これだけ店舗が閉まれば業績への打撃は避けられないのでは」といった懸念の声が広がり、投資家や消費者の間でも先行きを不安視する見方が強まっています。

二重苦に揺れる経営の底力

追い打ちをかけるのが、2019年夏から継続している韓国での不買運動です。日韓関係の悪化を背景としたこの問題により、2019年9月から11月期の海外ユニクロ事業の営業利益は、前年同期比で28%減の378億円まで落ち込みました。一時的にせよ、国内ユニクロの利益を下回るという結果を招いています。

専門家からは「ファーストリテイリング自身の競争力が失われたわけではない」との分析もありますが、中国と韓国という主要拠点で同時にトラブルを抱える状況は、まさにダブルパンチです。柳井会長が年初に掲げた「世界で闘い、金メダルを目指す」という目標に向けて、いままさに組織の真の底力が試されているのではないでしょうか。

私個人の意見として、どれほど強固なブランドであっても、国際政治や予測不能なパンデミックの影響を完全に回避することは不可能です。しかし、リスクをいかに制御し、柔軟に対応するかが真のグローバル企業の資質と言えるでしょう。この試練を乗り越えた先にあるユニクロの変容に、私は注目していきたいと思います。

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