リクナビ内定辞退率問題で企業が直面する採用AIの壁!適正なデータ活用の基準とは?

就職活動中の学生に関するデータをどこまで選考に活用してよいのか、多くの企業が頭を悩ませています。就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、学生の「内定辞退率」を予測して販売していた問題が波紋を広げました。この件で厚生労働省はデータを利用していた企業への行政指導に踏み切っています。

その一方で、過去の最高裁判所の判例では「企業の採用活動には幅広い裁量がある」と認められてきました。この司法の判断と行政の対応との間で板挟みとなり、適正にデータを取り扱うための明確な基準が見えない状態が続いています。ネット上でも「どこまでがセーフなのか分からないと、新しい技術の導入が進まなくなる」といった、今後の採用活動の萎縮を懸念する声が数多く上がっています。

問題視された内定辞退率のデータに関しては、対象となった就活生約9万5千人のうち、約6万4千人は事前の説明が不十分だったとはいえ、一応は分析への同意を示していました。それにもかかわらず、厚生労働省は同意を得ていた企業も含めて、データを利用した38社に対して2019年12月13日に行政指導を行いました。どのような条件で同意が無効になるのかについて、同省は個別の判断にとどめ、具体的な線引きを示していません。

この曖昧な姿勢の背景には、1973年に最高裁判所が下した「三菱樹脂事件」の判例があります。これは企業に思想信条による採用の自由を認めたもので、採用基準の設定は基本的に企業の裁量に委ねられているという判断です。国側としては、この判例があるために「データを活用する際の一律の正解」を提示することが難しく、結果として企業側に判断を委ねる形になっています。

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AI採用の未来を切り拓く独自のプライバシー基準

そんな中、国に頼らず自社で厳格な基準を設けてAI活用を進める動きも出ています。消費財大手のユニリーバは2017年から、面接時の表情や声のトーンを人工知能で分析し、活躍中の社員のデータと比較する仕組みを取り入れました。ここで注目すべきは、彼らが独自に設けた弁護士などによる「プライバシーチーム」が、約半年もの時間をかけて法律や倫理的なリスクを徹底的に審査している点です。

また、国内でも約90社が加盟する団体が2019年11月に、人事データを扱うための原則案を公表しました。専門部署の設置を推奨するなど、民間主導で健全なデータ活用のルール作りが急ピッチで進められています。「法的に問題ないというベンダーの言葉を鵜呑みにしてしまった」と後悔する利用企業の声もあり、これからは他任せにしない姿勢が問われます。

技術が進化するスピードに対して、法律の整備が追いつかないのは世の常です。だからこそ企業は、国の基準をただ待つのではなく、テクノロジーをどう倫理的に扱うべきかを自ら問い続けなければなりません。プライバシーへの配慮と利便性のバランスを主体的に模索することこそが、これからのデジタル社会を生き抜く企業の絶対条件になるのではないでしょうか。

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