同一労働同一賃金で派遣料金が20%アップ?パソナ社長が語る2020年4月からの劇的な待遇改善と人材確保の未来

働き方改革の大きな柱として注目を集める「同一労働同一賃金」の制度が、2020年4月1日からいよいよ派遣社員にも適用されます。この制度は、正社員と非正規社員の間にある不合理な待遇の格差を解消することを目指した法律上のルールです。同じ仕事をしているのであれば、雇用形態に関わらず平等な給与や福利厚生を支給すべきだという考え方が根底にあります。これに伴い、派遣スタッフの通勤交通費や退職金などが時給に上乗せされるため、働く側にとっては手取り額が大幅に増える嬉しい春を迎えそうです。

この歴史的な転換期を前に、大手派遣会社であるパソナの中尾慎太郎社長は、2020年4月以降の派遣料金を地域差はあるものの2割程度引き上げる方向で顧客企業との交渉を進めていると明かしました。ネット上では「ついに手取りが増える」「交通費が出るのは本当にありがたい」といった歓喜の声が上がる一方で、「企業が派遣の受け入れを減らすのではないか」という不安の声も交錯しています。人件費の上昇という課題に対し、派遣業界のトップランナーがどのような戦略で挑むのか、その動向に大きな関心が集まっています。

パソナでは、同じ会社に属するスタッフの待遇を一律で底上げする「労使協定方式」という仕組みを採用し、新たな料金表をもとに交渉を行っています。これは会社と労働者の代表が結んだルールに従って賃金を決める方法で、これまでの基本給が低めだった地方都市ほど、今回の引き上げ幅が大きくなる見通しです。中尾社長は、2019年秋の契約更新時にも一般事務や販売職の料金を平均で2%引き上げており、同業他社と比較しても高水準の時給を維持しているという強い自負を覗かせています。

現状のままでも法的な基準は十分にクリアしている同社ですが、なぜこれほど大胆な値上げに踏み切るのでしょうか。その理由は、深刻化する労働力不足の中で、他社に負けない魅力的な時給を提示しなければ優秀な人材を確保できないという切実な背景があるからです。厚生労働省の通達に基づく賃金改善だけでなく、優秀な人を集めるためのコストも含めて、顧客企業に理解を求めていく姿勢を示しています。私は、この攻めの姿勢こそが今後の日本の労働市場全体の質を高める鍵になると確信しています。

料金が大幅に上がれば派遣の需要が落ち込むのではないかという懸念に対し、中尾社長は、制度改定に伴う必然的な交渉であるため、値上げそのものを拒否されるケースはほぼないと語ります。ただし、負担増によって雇う人数を絞り込む企業が出てくる可能性は否定できず、派遣スタッフの稼働数の伸びは一時的に鈍るかもしれません。それでも、深刻な人手不足が続く現在の市場においては、安易な派遣切りや急激な削減には繋がりにくいという冷静な分析を示しています。

景気の先行きが不透明な製造業、特に自動車や半導体といった輸出関連のメーカーでは、足元で求人が落ち込んでいるのも事実です。しかし、中尾社長によれば、需要が減っているのは主に既存の生産現場であり、新規事業や開発に関わる分野での派遣需要は依然として衰えていません。さらに、日用品などを扱う内需型の企業からの引き合いも根強く、市場全体が冷え込んでいるわけではないようです。これからは、単なる人員補充ではなく、企業の成長を支える専門人材としての派遣活用が進むでしょう。

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