2019年10月22日にアメリカの象徴とも言える大型バイクメーカー、ハーレーダビッドソンが発表した業績が大きな波紋を呼んでいます。2019年7月から9月期における同社の純利益は、前年の同じ時期と比べて24%も減少してしまいました。金額にして約8600万ドル、日本円で約93億円という厳しい数字です。SNS上でも「憧れのブランドがこんなに苦戦するなんて」と驚きの声が広がっています。
この劇的な減益の背景には、アメリカ国内での販売不振に加えて、「報復関税」という重い足かせが存在します。報復関税とは、ある国が不当な関税をかけてきた際に、対抗措置として相手国の輸入品に関税を上乗せする制度のことです。現在、アメリカと対立を深める中国やヨーロッパがこの措置を発動しており、アメリカから輸出されるハーレーの車両に多額の税金が課せられる事態となっています。
実際に中国と欧州連合(EU)への輸出関税は、約2100万ドルものコスト増加を招きました。本来得られるはずだった利益を大きく削り取っている状態と言えるでしょう。これに対して同社は、25%という追加関税分を自社の身銭を切って負担しています。熱心なファンからは「ハーレーが自腹を切って価格維持に努めているのは涙ぐましい」といった好意的な意見もSNSで見受けられました。
世界全体に目を向けると、この時期の販売台数は5万8522台でわずか1%の減少にとどまっています。直前の2019年4月から6月期には8%も落ち込んでいたため、状況は少し上向いていると言えるかもしれません。特に全体の6割を占める地元アメリカ市場が4%のマイナスと苦戦を強いられる中、アメリカ以外の地域では3%のプラス成長を記録しました。
とりわけアジア太平洋地域は9%の増加と見事な牽引力を見せています。新興国を中心としたバイク需要の高まりが、老舗ブランドの屋台骨を支えている構図が浮き彫りになりました。「アジアでの人気が高まっているのは、ツーリング文化が世界中に根付いてきた証拠」と、海外のライダーたちの間でもポジティブな反響が寄せられているようです。
米中貿易摩擦の余波と、ピンチを乗り越えるための戦略
しかし、部品の調達コストというもう一つの難題がのしかかります。2019年9月に中国からの輸入部品に対する課税対象が拡大され、コスト負担は年間800万ドルから最大2000万ドル規模へと跳ね上がる見込みです。純利益(企業がすべての支払いを終えて手元に残る最終的な利益)を圧迫するこの事態に、財務戦略のトップであるジョン・オリン最高財務責任者(CFO)も代替の調達先を探し始めていると明かしました。
ただ、同社も手をこまねいているわけではありません。関税の直撃を避けるため、中国やヨーロッパ向け車両の生産拠点をアメリカ国内からタイの工場へと急ピッチで移管し始めています。この迅速なサプライチェーンの見直しにより、中国向けは2020年初め、ヨーロッパ向けは2020年4月ごろには、重くのしかかる関税コストの大部分が解消される見通しを立てています。
インターネットメディアの編集者として私は、国家間の政治的な対立が、一介の民間企業やグローバルブランドにこれほど甚大な影響を及ぼす現状に強い危機感を覚えます。関税の応酬は結果的に企業の成長を阻害し、最終的には消費者が負担を強いられることになりかねないからです。自由な経済活動が保障される平和な貿易環境へ、一刻も早く戻ることを強く望みます。
それでも、ハーレーダビッドソンがタイ工場への生産移管という柔軟な対応策を打ち出した点には、老舗企業ならではの底力とたくましさを感じずにはいられません。アメリカの象徴とも言える彼らのバイクが、この逆風を乗り越えて再び力強いエンジン音を世界中に響かせてくれる日を、一人のファンとしても応援し続けたいと思います。今後の動向から目が離せませんね。
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