2019年12月06日現在、日本の家族観は大きな転換点を迎えています。「婚活」という言葉を世に広めた中央大学の山田昌弘教授が、最新著書『結婚不要社会』で描き出したのは、かつての常識が通用しない非婚社会のリアルな姿です。
統計を見るとその変化は一目瞭然で、1995年から2015年の20年間で、30代前半の未婚率は男性が約47%、女性も約35%にまで急上昇しました。もはや結婚しない選択は特別なことではなく、ごく「普通」のライフスタイルになりつつあるのでしょう。
SNSでは「無理に結婚して生活水準を下げるより、一人の自由を楽しみたい」といった共感の声が目立ちます。欧米の非婚化が自由な恋愛を求める前向きな理由であるのに対し、日本では将来への経済的不安が影を落としている点は、今の世相を反映していると言えそうです。
エンタメ業界が埋める「心の隙間」と疑似恋愛の進化
こうした社会の変化を、エンターテインメント業界は大きなチャンスと捉えています。山田教授は、人が結婚に求める「ロマンティックな感情」「親密さ」「性的満足」という3要素を、現代のエンタメ産業が代替できる可能性を指摘しているのです。
かつてのエンタメは映画や音楽を一方的に受け取るスタイルが主流でしたが、ここ20年で「会いに行けるアイドル」や「オンラインサロン」が登場しました。ファンが提供者と直接交流し、深い親密さを感じられるサービスが市場を席巻しているのは興味深い現象です。
親密さとは、互いの存在を認め合い、心の安らぎを得る状態を指す専門用語ですが、現代ではこれが握手会やトークイベントへと形を変えています。もはや特定のパートナーがいなくとも、コンテンツを通じて感情を満たせる時代が到来しているのです。
テクノロジーが加速させる「ソロ活」の未来
さらに、VR(仮想現実)やAI(人工知能)の進化が、この流れを加速させるでしょう。自分の理想を投影したキャラクターとデートを楽しんだり、物語の主人公として深い没入感を味わったりする体験は、現実の結婚生活に代わる新たな娯楽になり得ます。
実際に中国では独身男性が3000万人を超えるとされ、恋愛ゲームやコンセプトカフェが巨大市場を形成しています。日本でも一人で焼肉やキャンプを楽しむ「ソロ活」が文化として定着しており、個人が自分自身の時間を慈しむ土壌は十分に整っているはずです。
私は、結婚を「諦めるもの」ではなく、多様な選択肢の一つへと相対化させるエンタメの力に期待しています。人口動態の変化を悲観するのではなく、一人ひとりが孤独を感じずに幸福を追求できる新しいビジネスこそ、これからの日本を救う鍵になるでしょう。
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