マンション選びの基準が多様化する現代において、管理のあり方も大きな転換期を迎えています。マンション情報配信を手掛けるスタイルアクト株式会社(東京都中央区)は、2019年12月11日までに、入居者を対象とした興味深い意識調査の結果を公表しました。
この調査では、人工知能(AI)やロボットにマンション管理業務を委任することへの是非を問うており、居住者のリアルな「本音」が浮き彫りになっています。特にルーチンワークとされる分野では、テクノロジーの活用に肯定的な意見が目立ちました。
具体的に、タクシーの手配といったサービスの取次業務については、全体の68%もの方々が「任せても良い」と回答しています。日々の生活に直結する利便性の向上には、人間による対応よりも、迅速で正確なAIのサポートを期待する傾向があるのでしょう。
また、マンションの美観を維持するために欠かせない「一般清掃」に関しても、67%の入居者がAIやロボットの導入に前向きな姿勢を示しました。清掃ロボットの普及が進むなかで、管理費の維持を条件に効率化を求めるのは極めて自然な流れです。
SNS上では「管理費が安くなるなら大歓迎」「深夜でも気兼ねなく頼めるロボットの方が気楽でいい」といった声が上がっています。その一方で、全ての業務を機械に委ねることに対しては、慎重な議論が必要だとする意見も少なくありません。
AIにはできない「人の力」が求められる業務の境界線とは
一方で、テクノロジーによる代替が難しいと判断された領域も明確になりました。特に、マンションの意思決定機関である「理事会運営」の相談については、40%の入居者が「たとえコストがかかっても、人間にお願いしたい」と回答しています。
ここで言う理事会運営とは、居住者同士の利害調整や長期修繕計画の策定など、高度なコミュニケーション能力が求められる業務を指します。機械的な判断だけでは解決できない「住民の感情」に配慮した対応は、やはり人間の独壇場と言えます。
また、トラブル対応を含む「日常管理に関する相談」についても、37%の人が人間によるサポートを希望されました。AIが得意とするのはデータの処理ですが、不測の事態における「安心感」の提供には、温かみのある対面対応が不可欠です。
私は、この調査結果こそが「共生」のヒントになると考えています。単純な作業はAIに任せてコストを抑え、浮いたリソースを質の高い対人サービスに充てるべきでしょう。これこそが、次世代の資産価値を高めるマンション管理の姿ではないでしょうか。
2019年という年は、スマートマンションの普及に向けた重要な一歩を記した年として記憶されるはずです。テクノロジーへの期待と人間への信頼をどうバランスさせていくか、管理業界の新たな挑戦がこれから本格化していくに違いありません。
コメント