スタートアップ創業期の資金調達に新風!手続きを劇的に効率化する「コンバーティブル」が1割に急増した理由と今後の展望

日本の起業環境において、事業を立ち上げたばかりの企業による資金獲得の手法が多様化の兆しを見せています。最近になって特に注目を集めているのが、契約の手続きを大幅に簡略化し、スピーディーに投資家との交渉をまとめることができる「コンバーティブル・エクイティ」と呼ばれる特別な新株予約権です。

ベンチャーキャピタルであるコーラル・キャピタルが実施した詳細な実態調査によりますと、創業間もない時期の資金調達案件のうち、すでに1割の割合でこの手法が導入されていることが判明しました。常にスピード感が要求される起業直後の経営者たちの間で、この新しい選択肢が確実に浸透している様子がうかがえます。

SNS上でもこの動向は大きな話題となっており、「これまで時間がかかっていた手続きが迅速化されるのは、起業家にとって本当にありがたい」「日本の投資環境が欧米並みに進化してきた証拠だ」といった、好意的な意見や期待を寄せる声が数多く投稿されています。

同社は一般に公表されている情報から、2018年に資金を確保した新興企業およそ600社を抽出しました。さらに登記簿謄本といった公式な記録を丁寧に確認することで、具体的な契約条件についての分析を進めたそうです。

調査対象となった2018年の資金獲得の事例は、全体で823件にのぼりました。このうち初期段階に多く見られる1億円以下の小規模な案件は509件あり、その中でコンバーティブル・エクイティが採用されたケースは52件と、全体の1割を占める結果となっています。

この調査は今回が初の試みですが、コーラル・キャピタルの沢山陽平創業パートナーは、数年前までは殆ど見かけなかったこの手法の活用が、ここへ来て一気に普及し始めていると分析を加えています。

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株式発行の課題を克服する革新的な仕組み

これまで新興企業が軍資金を集める際は、自社の株式を新しく発行して投資家に購入してもらう「第三者割当増資」という方法が主流でした。しかしこのやり方では、評価額の決定や複雑な契約交渉に2ヶ月から3ヶ月もの歳月を費やす上、多額の弁護士費用が発生してしまう点が大きな壁となっていたのです。

こうした課題を解決するため、コーラル・キャピタルの前身組織は2016年に「J-KISS型新株予約権」というコンバーティブルの手法を開発し、その契約書のひな型を無償で一般に公開しました。これは企業価値の算出といった細かな条件交渉を将来に先送りできる画期的な仕組みです。

この公開されたテンプレートを上手く活用すれば、わずか1週間から2週間という驚異的な短期間で投資契約書を完成させることが可能になります。時間が何よりも貴重な創業期の経営者にとって、まさに救世主のような制度と言えるでしょう。

私は、この仕組みの普及が日本の起業カルチャーをより強固なものに変えていくと確信しています。これまでは資金集めの事務作業に追われて事業が停滞する本末転倒な事態も見られましたが、手続きが簡素化されれば、経営者は本来の目的であるプロダクト開発や顧客獲得に全精力を注ぎ込めるからです。

ただし、手続きが簡単になったからといって、資金を提供してくれる相手への丁寧な説明や信頼関係の構築が不要になるわけではありません。調達を成功させるための本質的なハードルは、他のどのような手法を選んだとしても変わらないのです。

出資する側とされる側の双方が、この制度のメリットだけでなく将来的なリスクや難点もしっかりと頭に叩き込み、賢く使いこなすための努力を積み重ねていくことこそが、今後の日本のスタートアップ経済をさらに発展させる鍵になるでしょう。

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