日本の物流を支える海事産業の集積地として知られる四国エリアから、活気あふれる最新のデータが届きました。四国運輸局が発表した2019年4月から2019年9月までの大型船の受注実績によりますと、受注隻数は23隻を記録したことが判明しています。前年の同じ時期と比較すると2隻ほど減少しており、割合にして8%のマイナスという結果になりました。しかし、数字の表面だけを見て落ち込む必要はまったくありません。なぜなら、造船業界の実力を測る上でもう一つ重要となる別の指標が、力強い伸びを見せているからです。
その指標こそが、船舶の大きさや容積を表す単位である「総トン数」です。こちらは前年同期比で9%プラスとなる62万5000トンへと跳ね上がっています。隻数が減った一方で全体の容積が増えたという事実は、一隻あたりのサイズが大型化したことを意味しているでしょう。SNS上でも「四国の造船所はやっぱり規模が違う」「大型案件をこなせる技術力が素晴らしい」といった、地元の産業を誇らしく思う好意的な声が多数寄せられていました。現場は十分な仕事量を維持しており、操業は極めて安定しているようです。
竣工ラッシュがもたらす影響と手持ち工事量の現状
さらに注目したいのが、工事が完了して船が完成することを意味する「竣工(しゅんこう)」のデータです。今回の期間内では、特に貨物船の完成が大幅に増加しました。竣工した大型船は前年同期から36%も増えて64隻にのぼり、総トン数ベースでも18%増の232万トンという驚異的な数値を叩き出しています。四国の職人たちが日々汗を流し、高いクオリティの船を次々と世に送り出している姿が目に浮かぶようです。この驚異的なスピード感には、日本のものづくりの真髄が凝縮されていると言っても過言ではありません。
ただ、完成した隻数が新しく注文を受けた隻数を上回ったため、バックログと呼ばれる「手持ち工事量」は減少傾向にあります。それでも2019年9月30日時点において、184隻という豊富な工事残量をしっかりと確保している状況です。造船ビジネスは数年単位で動く長期的なプロジェクトが多いため、これだけのストックがあれば当面の経営基盤は揺るぎないと考えられます。焦って安値受注に走る必要がなく、質の高い建造に集中できる環境が整っているのは大きな強みです。
中・小型船の動向とこれからの四国造船業への期待
一方で、主に日本国内の港を結んで荷物を運ぶ「内航船(ないこうせん)」として活躍する中・小型船の市場には、少し変化が見られました。貨物船の需要がひと段落した影響から、中・小型船の受注隻数は56%減の12隻と落ち込んでいます。対照的に、期間中に完成した中・小型船は10%増の22隻となっており、こちらも現場がフル稼働で建造を進めていたことが伺えます。一時的な受注の波はあるものの、これまでの蓄積があるため急激な失速を懸念する状況ではないでしょう。
私は今回の結果を拝見して、四国の造船エリアが持つレジリエンス、つまり環境の変化に柔軟に対応する高い適応力に改めて感銘を受けました。世界的な海運市況の変動にさらされながらも、大型船へのシフトや安定操業を維持する管理体制は実に見事です。ネット上でも「四国の経済を支える大黒柱として頑張ってほしい」というエールが飛び交っています。自動運航や環境配慮型のエコシップなど、未来への技術革新が期待される中で、四国の造船業はこれからも日本の海事産業を牽引していくに違いありません。
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