2020年01月06日、かつて1911年にアメリカの最高裁判所から解体命令を受けたスタンダード・オイル社の歴史を彷彿とさせる事態が、現代のデジタル社会で再び幕を開けようとしています。当時は石油王ロックフェラー氏が率いる巨大企業が市場の9割を支配し、独占禁止法の厳しい洗礼を受けました。富を生み出す新たな資源が登場するたびに、急成長を遂げた勝者が市場を牛耳る構図は、時代を超えて繰り返されているのです。
現代においてその主役に躍り出たのが、検索エンジンやSNSなどを先導するグーグル、アップルをはじめとした巨大IT企業、いわゆる「GAFA」です。マイクロソフトを加えた主要5社の純利益は、直近で約1600億ドル、日本円にして約17兆円に達し、この10年間でなんと6倍にも膨れ上がりました。これは米国本社の上場企業が稼ぐ利益の12%を占める圧倒的な規模であり、将来のライバルとなり得る新興企業までも次々と買収によって飲み込んでいます。
SNS上では、これらのサービスがもたらす利便性を歓迎する声が目立つ一方で、「選択肢が狭まるのは怖い」「巨大すぎて中小企業が太刀打ちできない」といった、市場の寡占化に対する不安や危機感を募らせる投稿も数多く見られます。市場の寡占度を示す指標である「ハーフィンダール・ハーシュマン指数」は、世界的に2008年を底として上昇に転じており、日米欧の主要業種のうち3分の2で、上位5社のシェアが10年前よりも高まっているのが実態です。
この新独占の背景には、知財やデータといった目に見えない資産への価値シフトがあります。たとえば商用ドローンの世界最大手であるDJIは、中国国内で得られる膨大な飛行データを活用したソフトウェアの進化を強みとしており、他社が真似できない情報の厚みで優位性を築いています。かつて経済学者のアダム・スミスが『国富論』で説いた「激しい競争こそが新技術を生む」という資本主義の理想的な循環は、今や機能不全を起こしかねない局面にあります。
デジタルサービスの多くは消費者に無料で提供されるため、一見すると不利益がないように感じられます。しかし、特定の企業にデータが集中しすぎると、多様なイノベーションを阻み、新たな挑戦者が生まれない土壌を作ってしまいます。実際に、業界の寡占度が高い国ほど経済成長率が低いというデータも存在します。私は、利便性の裏にあるこの構造的なリスクを直視し、次の世代の革新を促すための新たな競争のルール作りが急務であると考えます。
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