毎日の通勤や通学で利用する地下鉄の駅。そんな見慣れた場所の改札を抜けた先に、青々と茂る近未来的な野菜畑が現れたら驚いてしまいますよね。お隣の韓国・ソウル市では、まさにそんな驚きの光景が現実のものとなり、今大きな注目を集めています。なんと、ソウル市営地下鉄の駅構内にある未利用のスペースを活用して、ガラス張りのスタイリッシュな野菜工場が誕生したのです。
このユニークな試みを仕掛けたのは、ソウル交通公社と農業ベンチャーの「ファームエイト」です。2019年9月24日には、ソウル市中心部を走る地下鉄7号線の上道駅に「メトロファーム」という名の拠点がお披露目されました。日本の地下鉄と比べて駅の地下空間が広大なソウルですが、乗客の動線から外れた「休眠スペース」の有効活用と、駅のイメージアップを同時に狙った画期的なプロジェクトです。
インターネット上やSNSでもこの取り組みは瞬く間に話題となり、「未来の都市の姿を見ているようだ」「駅の中で採れたばかりの新鮮な野菜を食べられるなんて最高!」といった驚きと絶賛の声が多数寄せられています。さらに、単に野菜を育てるだけでなく、その場で搾りたての野菜ジュースやみずみずしいサラダを楽しめるお洒落なカフェも併設されており、会社員や家族連れのリラックス空間として愛されています。
ここで導入されているのが「水耕栽培」と呼ばれる技術です。これは土を使わず、植物の成長に必要な栄養分を溶かした水溶液で育てる方法です。天候に左右されず、限られた空間でも縦に棚を積み重ねることで、通常の畑と比べて約40倍という驚異的な効率で生産できます。さらに、最先端の人工知能(AI)を導入したロボットが、種まきから水質の管理、収穫までを自動で行う「スマートファーム」の実験も進められています。
私がこの事業で特に素晴らしいと感じるのは、都市における「究極の地産地消」を実現している点です。物流による二酸化炭素の排出をゼロに抑え、これ以上ない新鮮さで消費者に届ける仕組みは、これからの地球環境に不可欠なモデルでしょう。また、韓国で深刻な社会問題となっている微小粒子状物質「PM2・5」などの大気汚染物質に触れることなく、完全に管理されたクリーンな室内で育つため、食の安全に敏感な子育て世代からも絶大な支持を得ています。
2020年1月06日現在、このプロジェクトは条件の異なる3つの駅で試験運営されており、2020年の初頭には新たに2店舗の展開が決定しています。オフィス街の駅にはサラダの自動販売機を設置するなど、駅の特性に合わせた柔軟な店舗作りも進められています。採算性の確立はこれからですが、毎日数百万人もの人々が目にする地下鉄駅でのアピール効果は計り知れません。日本への野菜輸出も視野に入れる彼らの挑戦から、目が離せませんね。
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