日々の食卓に欠かせない「物価の優等生」といえば卵ですが、今まさにその価格が急上昇しているのをご存知でしょうか。東京地区におけるMサイズの卸売価格が、2020年01月23日時点で1キログラム当たり180円を記録しました。これは年初からのわずか数週間で約13パーセントも値上がりしたことになります。前年の同じ時期と比べると4割ほども高い水準であり、新年が始まった時期としては実に3年ぶりの高値となっているのです。
この突然とも思える値動きの背景には、2019年09月に関東地方を直撃した大型台風の深刻な爪痕が関係しています。台風による被害の影響が現在も長引いていることに加え、全国の養鶏産地で生産量をコントロールする動きが広がったため、市場に出回る卵の全体量が減少しました。SNS上でも「スーパーの卵が最近高くてお財布に響く」「お弁当の定番である卵焼きを作る回数を減らそうか悩む」といった、家計への負担を心配する切実な声が数多く寄せられています。
実は2019年の初め頃は卵を産む親鳥の数が非常に多く、市場は供給過剰、つまりモノが溢れて価格が下がりすぎる状態に陥っていました。当時はなんと15年ぶりとなる歴史的な安値を記録していたのです。しかし、先述した台風被害や、その後の意図的な生産抑制が引き金となり、それまで増え続けていた親鳥の飼養羽数は一転して減少へと向かいました。
日本種鶏孵卵協会のデータによると、2019年11月時点における親鳥の飼養羽数は869万3000羽となっており、前年比で1パーセント減少しています。大手鶏卵卸の担当者も、前年末に売れ残って年をまたいだ在庫の量が例年よりも少なかったと指摘しており、市場での需給が引き締まっている感覚が現在の価格を大きく押し上げているのでしょう。
一方で、気候の面からは少し意外な声も聞こえてきます。現在の冬は記録的な「暖冬」が続いており、本来であれば卵が大量に消費されるはずのおでんや鍋物といった冬定番メニューの需要が、思うように伸びていません。もし例年通りの厳しい寒さであれば、卵の価格はさらに跳ね上がっていた可能性すらあるでしょう。
私たちの生活に最も身近な食材だからこそ、数十円の値上がりであっても家計に与える心理的なダメージは想像以上に大きいものです。単なる一過性のブームとは異なり、自然災害や生産現場の構造的な変化がダイレクトに価格へ反映されているため、今後もしばらくは高値が維持されると予想されます。お財布の紐を固くしつつ、今後の価格推移を注意深く見守りたいところですね。
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