大手電機メーカーのパナソニックが、国内で勤務する外国人社員の確保に向けて本格的に動き出しました。2019年から国内の新卒採用試験において、従来の日本語だけでなく、英語や中国語での受験も選択できるように変更しています。さらに海外の大学で専門分野を学ぶ理系の学生を対象とした、日本国内でのインターンシップ(就業体験)制度も新たに導入されました。ビジネスレベルの日本語能力がまだ身についていない段階であっても、国内の主要拠点で幅広く受け入れるという、これまでにない極めて柔軟な方針を打ち出しています。
この大胆な改革の背景について、同社採用部の萬田弘樹部長は、1990年前後のバブル期に大量採用された世代が定年を迎えることによる、深刻な人員減少を挙げています。毎年1,000人規模の新卒採用を行っても追いつかないほどのスピードで労働力が失われる中、未来の事業を創造するには多様な視点を持つ人材が不可欠です。これまでの画一的な採用手法を見直し、迅速に多くの優秀なグローバル人材を迎え入れる体制づくりが急務となっています。ネット上でも「この決断は日本の就活を変える」と、大きな注目を集めています。
新しい取り組みとして、エントリーシート(応募書類)の受け付けや面接試験を英語と中国語に対応させました。主に日本の大学で学ぶ外国人留学生を対象としており、選考には既に同社で活躍する先輩の外国人社員や、ネイティブレベルの語学力を持つ日本人社員が携わります。これまで日本の大学を卒業した留学生のうち、実際に国内で就職する割合はわずか3割程度にとどまっていました。働きたいという意欲はあっても、日本企業が求める高すぎる日本語の壁が、挑戦への大きなハードルになっていたのです。
萬田部長は、外国人留学生を日本人と全く同じ基準の試験で評価することは「差別的」であると強い危機感を示しています。ビジネスにおいて重要なのは、単語の細かなニュアンスや話すトーンといった日本語の習熟度そのものではありません。同じ土俵で比較してしまうと、本来の輝くべき才能を見落とす危険性があります。母国語で試験を実施すれば、学生が持つ真の能力や熱意を正確に見極めることが可能です。SNSでは「言葉の壁で優秀な人材を逃していた日本企業への一石だ」と、共感の声が広がっています。
今回の制度改革に対し、学生側からの評判は非常に高いようです。「こうした柔軟な仕組みがあるからこそ、国籍に関係なく自分が活躍できる企業だと確信して応募した」という前向きな声も届いています。パナソニックが求めるのは、会社の理念に心から共感し、共に未来を切り拓いていける同志です。日本語のスキルは入社後に磨くこともできるため、まずは個人の本質的なポテンシャルを最優先で評価する姿勢は、これからの時代のスタンダードになるべきだと私は強く感じます。
さらに同社は、主に研究職の分野において、海外の大学に在籍する学生の採用にも照準を合わせています。営業職などとは異なり、開発や技術の現場では業界特有の専門用語(世界共通で使われる専門的な技術言葉)で意思疎通が図れるという強みがあるからです。2018年からはアメリカ、中国、インドの理系学生を対象に、日本への滞在を伴う数ヶ月間のインターンシップを開始しました。これまで日本と接点がなかった層にも、同社への就職を意識してもらう最高のきっかけを提供しています。
2019年10月には、このインターンを通じて初めてインド人学生が実際に入社を果たしました。生活環境の変化に馴染めるよう、入社前にはオンラインの日本語講座を提供するなど、フォロー体制も万全です。かつて同社では、中途採用の社員すら珍しく見られた時代もありましたが、今では誰も違和感を抱いていません。ダイバーシティ(多様な人材が互いの違いを受け入れ、共に活躍すること)が進む現代において、外国人社員と日本人が当たり前に肩を並べて革新を起こす姿は、まさに理想的な企業のあり方と言えるでしょう。
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