働き方改革の波が押し寄せるなか、企業のオフィス環境に劇的な変化が起きているようです。ザイマックス不動産総合研究所が発表した調査によると、在宅勤務や社外で業務を行う「テレワーク」を取り入れている企業は、そうでない企業に比べて1人あたりのオフィス面積が約3割も狭いことが判明しました。場所を選ばない働き方が浸透したことで、従来の固定席を中心とした広大なスペースが不要になり、効率的な空間の活用が進んでいる実態が浮き彫りになっています。
インターネット上でもこの結果は大きな話題を集めており、SNSでは「通勤ストレスから解放される上に会社も経費削減になって一石二鳥」「オフィスが縮小される分、内装の充実や手当に還元してほしい」といった好意的な声が目立ちます。その一方で、「一等地のオフィスビルはどうなるのだろう」と、今後の不動産市場の行く末を案じる意見も寄せられていました。多様な働き方の実現は、多くのビジネスパーソンにとって関心の高いテーマであると言えるでしょう。
今回の調査は、2019年10月時点で同グループが管理する物件に入居する1386社を対象に実施されました。驚くべきことに、テレワークを導入している企業の割合は79%に達しており、2018年秋の調査と比較して10ポイントも上昇しています。具体的には、在宅勤務制度を持つ企業の1人あたり面積の中央値は10.4平方メートルで、未導入企業より26%小規模でした。中央値とは、データを大きさ順に並べた際に丁度中央にくる値のことです。
シェアオフィスの活用と不動産市場の逼迫がもたらす影響
さらに、自社で運営するサテライトオフィスを持つ企業では9.9平方メートル、外部のレンタルオフィスや「シェアオフィス」を活用する企業では9.24平方メートルと、最も狭い数値を記録しています。シェアオフィスとは、複数の企業や個人が特定のオープンスペースや設備を共同で利用する施設のことで、初期費用を抑えて柔軟に拠点を構えられる点が特徴です。このシェアオフィスを利用する企業の割合は、2018年秋からわずか1年で倍増しました。
こうした背景には、不動産大手が相次いで魅力的なシェアオフィスを拡大し、利便性が飛躍的に向上したことが挙げられます。しかし、単に効率化だけが理由ではないという側面も見逃せません。実は現在、都市部を中心にオフィスの需給が極めて逼迫しており、入居できる空室が不足している状況です。これに伴い賃料も上昇傾向にあるため、企業側が十分な広さを確保したくても困難であるという、厳しい市場環境も影響していると考えられます。
私は、この変化を単なるコスト削減の手段として捉えるべきではないと確信しています。オフィスを縮小することは、経営の機敏性を高める一方で、社員同士のリアルなコミュニケーションを減少させるリスクをはらんでいるからです。これからの企業には、物理的なスペースを削るだけでなく、集まった際の価値を最大化するような空間デザインや、帰属意識を維持するための仕組み作りが求められるでしょう。知恵を絞ったオフィス戦略が企業の成長を左右するはずです。
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