来るべきIoT(Internet of Things:モノのインターネット)時代の巨大な需要を見据え、半導体受託生産を担うスタートアップ、コネクテックジャパン(新潟県妙高市)が、このたび半導体の組み立て能力を従来の6倍にまで大幅に引き上げました。同社独自の低温低圧接合技術を駆使し、フレキシブルなIoT対応製品の供給体制を劇的に強化する狙いがあります。これにより、2019年12月期の売上高は10億円を見込み、将来的には東京証券取引所マザーズ市場への上場も視野に入れるなど、その成長戦略は極めてアグレッシブです。
半導体チップは、動作速度や省エネ性能を高めるためにパッケージと呼ばれる保護工程が必要です。同社ではこの重要なパッケージ工程を担う設備を大増強しました。「デスクトップファクトリー」と呼ばれる画期的な組み立て装置を導入したことで、従来設備と比較して、必要な設置面積を30分の1以下に抑えることに成功しています。妙高市の本社工場では、既存の1ラインに加え、新たに6ラインを新設し、月間500万個という圧倒的な組み立て対応能力を確立しました。投資額は非公表ですが、この大胆な設備投資は、IoT市場の爆発的な成長に対する同社の強い決意を示していると言えるでしょう。
同社の最大の強みは、半導体チップを基板に接合するプロセスにおける低温低圧技術です。通常、この接合には摂氏200度を超える高温と高圧が必要とされますが、薄く曲げられるようなフレキシブルな(柔軟性のある)チップの場合、高温高圧の負荷に耐えられずに破損してしまうリスクがあります。これに対し、同社の技術は接合温度を80度前後にまで下げ、圧力も通常時の約20分の1まで低減することを可能にしました。
この革新的なプロセスにより、チップへの熱的・物理的な負荷が極めて小さくなるため、破損の懸念を払拭しつつ、より小型で高性能な製品製造が実現します。さらに、この技術は、繊維やPET(ポリエチレンテレフタレート)のような樹脂素材、有機ELといった、これまで熱に弱く困難だった素材への装着も可能にするため、応用範囲は非常に広いです。同社はさらに技術開発を進め、2023年までには30度程度という、さらに低温での接合技術の確立を目指しており、今後の動向から目が離せません。
さらに、チップの小型化にも力を注いでいます。チップの端子を電子機器につなぐための配線間隔を、従来の4分の1にあたるわずか10マイクロメートル(マイクロは100万分の1を意味する単位)にまで狭める技術開発に着手しています。すでに製造に必要な型を作る技術は確立されており、この超小型化技術は、**「ウェアラブルデバイス」**など、より小型で高機能な製品の実現に不可欠な要素です。
情報技術専門調査会社であるIDCジャパンの予測によると、国内のIoT市場規模は、2023年までに年平均13.3%で成長し、約11兆7900億円に達すると見込まれています。この巨大市場の拡大を受け、コネクテックジャパンは、従来の家電分野だけでなく、衣料品といった全く新しい分野でのIoT市場の広がりを強く意識し、商機を確実に取り込む考えです。
SNS上でも、「半導体の低温接合は夢の技術」「フレキシブルエレクトロニクスの実現に不可欠」といった、同社の技術に対する期待感と賞賛の声が多数見受けられます。特に、熱に弱い有機ELや繊維への応用可能性に対しては、ファッションや医療分野からの注目度が高まっており、その反響は非常に大きいと言えるでしょう。
私は編集者として、このコネクテックジャパンの取り組みは、日本が世界に誇る**「擦り合わせ技術」の進化系だと強く感じています。半導体製造において、高温高圧は避けられない常識とされてきましたが、それをあえて低温低圧で実現する発想と、それを具現化する緻密な技術力は、まさに「常識を覆すイノベーション」**に他なりません。
2009年11月に元パナソニック社員の平田勝則氏が設立し、半導体チップの実装を主力としてきた同社は、2018年2月には三井物産からの出資を受け入れるなど、着実に成長基盤を固めてきました。研究開発には今後も多額の資金が必要となるため、同社は2020年12月期中のマザーズ上場申請を目指し、さらなる飛躍を図っていくでしょう。今後の日本経済を牽引する可能性を秘めた、コネクテックジャパンの挑戦に注目が集まります。
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