2019年12月25日の聖なる夜、名古屋の街に温かな光が灯りました。トヨタ自動車が全国で展開している「電動車による給電デモンストレーション」の一環として、高さ約4メートルもの巨大なクリスマスツリーが、なんと車の電力だけでライトアップされたのです。
このイベントの主役を務めたのは、外部からの充電も可能な「プリウスPHV(プラグインハイブリッド車)」です。エンジンとモーターを併用するハイブリッド車の進化形であり、大容量バッテリーを搭載しているのが特徴ですが、その秘めたるパワーに会場からは大きな歓声が沸き起こりました。
もしもの時に頼れる「移動する発電機」という新常識
近年、日本では地震や豪雨といった深刻な自然災害が相次いで発生しています。こうした緊急事態において、停電に見舞われた際の「非常用電源」として注目されているのが、HV(ハイブリッド車)やFCV(燃料電池車)といった電動車なのです。
燃料電池車(FCV)とは、水素と酸素を化学反応させて電気を作る、究極のクリーンカーを指します。トヨタは今回、こうした車たちが「単なる移動手段」を超えて、人々の暮らしを守る「移動する発電機」に進化していることを広く周知するために、全国10カ所で大規模な啓発イベントを企画しました。
具体例を挙げると、プリウスPHV1台で約1500ワットの電力を、およそ2日間も供給し続けることが可能です。これは一般家庭の日常生活を支えるのに十分なパワーであり、避難所などでのスマートフォンの充電や、暖房器具の使用など、命を繋ぐ貴重なエネルギー源となるでしょう。
所有者のわずか6%?知られざる給電機能の活用
驚くべきことに、トヨタの調査では電動車のオーナーのうち、実際に給電機能を利用したことがある人はわずか6%に留まっているそうです。宝の持ち腐れとも言えるこの現状を打破するため、会場では車から引いた電気で温かい飲み物を提供し、その便利さを肌で感じてもらう工夫が凝らされました。
SNS上でも「車で電気が賄えるなんて知らなかった」「キャンプだけでなく災害時にも最強の味方になりそう」といった驚きと期待の声が広がっています。便利さを追求するだけでなく、社会全体のレジリエンス(復旧力)を高めるという視点は、これからの車選びに欠かせない基準になるはずです。
トヨタの河合満副社長は、購入後も使い方が分からないユーザーが多い現状を認めつつ、今後も販売店を通じて粘り強く活用法を伝えていく姿勢を示しました。私自身、テクノロジーは使われてこそ価値があると考えます。こうしたメーカーの地道な啓蒙活動が、将来の「安心」を形作っていくのでしょう。
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